1930年代、大恐慌の嵐が吹き荒れたアメリカで“黒人エンターテイナー”の代名詞的な存在だったキャブ・キャロウェイ。
“ズート・スーツ”なる膝まである長い上着と、先細りになっただぶだぶのズボンという奇抜なステージ衣装。
ハンサムですらりとした長身で指揮棒を振るい、オーケストラを指揮するというよりは踊り狂っているような仕草。
これまでに誰も目にしたこともないアクの強いショーダンス、そして優れた美声の持ち主であり、そのバリトンボイスは張りがあって艶っぽく、高く澄んだ歌声で聴衆を魅了するヴォーカリトでもあった。
響き渡る声で朗々と歌ったかと思うと一変、今度は機関銃のような早口でまくしたてるスキャット、軽妙なダンスステップを踏みながら楽団の演奏を自在に操る姿は正に“エンターティンメント真髄”だった。
彼は1994年6月12日、自宅でテレビを見ている最中に脳梗塞で倒れ入院。
その後デラウェア州ホーケシンの養護施設に移された。
同年の11月18日、脳梗塞が原因となり…家族が見守る中86歳の生涯を閉じた。
彼は亡くなる直前まで演奏活動を続けていたという。
1930年代初頭から1940年代後半にかけて、黒人エンターテイナーとしてアメリカ最大級の人気を博したといわれている彼の軌跡をあらためてご紹介します。
──1907年12月25日のクリスマス、彼はニューヨーク州ロチェスターで産声を上げた。
キャベル・キャロウェイIII世という本名が示すように、両親は中産階級で裕福な家庭環境で育つ。
10歳になる頃に、彼の家族はメリーランド州ボルチモアに移住。
両親は彼の音楽的才能に気づいて、歌のレッスンなど教育環境を整えた。
当初はクラシックを学ばせたかったようなのだが、彼自身はそれに従わず、両親が嫌うジャズに惹かれていく。
姉が先にジャズシンガーとして売り出していたこともあり、彼も大学を中退して姉に合流する形でプロになる。
シカゴを拠点としていた彼は、ルイ・アームストロングとも共演を果たし、彼からスキャットを習ったというエピソードが残っている。
彼に大きな転機が訪れたのは1930年だった。
ニューヨークに進出していた彼は、バンドを転々とするうちにリーダーに納まったのだが、そのバンドが当時一世を風靡していたデューク・エリントン楽団の代役としてコットンクラブに出演することとなる。
そこは当時“黒人が出演しているのに黒人は席に座れない”というハーレムの高級ナイトクラブで、ここに出演できることは一流黒人ミュージシャンである証しと言われた場所。
彼のそのスキャット唱法とユニークなパフォーマンスは大好評を博してすぐにクラブの専属となり、ラジオで中継放送されるまでとなったという。
これを機にキャブ・キャロウェイの名前は一躍全国区となってゆく。
その後、ヒット曲にも恵まれ映画などへの出演なども増えて、彼の人気はますます高まっていった。
1980年には映画『ブルース・ブラザーズ』への出演で世界的に脚光を浴びたりするなど、アメリカのエンタテインメント界を牽引するトップランナーへと伸し上がってゆく。
この「Minnie the Moocher」(1931年)は数ある彼のレコードの中で最大のヒットであり、彼の十八番中の十八番である。
この大ヒットを機にキャブ楽団のテーマ曲となり、彼の代名詞ソングとなった。
日本では戦前SP盤で発売となり、邦題は「お嬢ミニー」だったという。
Minnie=は女の名前、Mooch=は物乞いをする・盗む・ぶらつくという意味。
Moocher=は乞食・借りる・たかる。
歌詞はこんな風に展開してゆく。
ミニーは鉄火肌のべっぴん
そのハートは鯨のよう
ミニーの情夫スモーキーはジャンキー
二人でチャイナタウンの阿片窟に行きどっぷりヤク漬け
スモーキーは稼いだ悪銭で
ミニーに高級車、大邸宅、競走馬まで買い与え
すっかり“おねだりミニー”に吸い取られている
ミニーはスモーキーからかすめた100万ドルを悦に入って勘定している
ハイディ ハイディ ハイディホー♪
これらの歌詞は言葉の一つひとつがニューヨークを中心に黒人たちの間に広まったスラングで綴られていて、まともには訳せないという。
アフリカから奴隷として新大陸に連れてこられた黒人たちは、やがて彼らの伝統的言葉遊び、ダズン(気の利いた悪口を言い合って戦う遊び)を発展させたジャイヴトーク(黒人ジャズミュージシャンのスラングを多用した早口でリズムに乗った話し方)を編み出し、白人には理解できない彼ら独特の陰語で語り合う風習が出来上がっていた。
歌手であり、優れたバンドリーダーであり、ダンサー、コメディアン、そして映画界における貴重な性格俳優でもあった“黒人エンターテイナー”の彼が歌ったこの「Minnie the Moocher」は、まさにそんな言葉遊びやスラングの産物なのである。
こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。

【歌ものがたり2022 雨ニモマケズ風ニモマケズ】
11月3日(木・祝)群馬・前橋 呑竜横丁
11月22日(火)札幌SALINAS
11月23日(水)恵庭Mojo Hand
12月2日(金)大阪 大きな輪
12日3日(土)和歌山OLD TIME
12月4日(日)広島Jammin’ bar
12月10日(土)福岡NIKAI
12月11日(日)北九州・黒崎 居酒屋 中村屋
12月13日(火)新宿UNDERGROUND Azzitto1224
12月22日(木)金沢JealousGuy
12月24日(土)福井・あわら市 専念寺
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【歌ものがたり2023 今夜すべての歌酒場で】
1月14日(土)長崎タンゲ食堂
1月15日(日)佐賀(唐津)DEN
1月20日(金)大牟田BAR LAST NUMBER
1月21日(土)行橋Rock ‘n Roll Bar Memphis
1月22日(日)二日市COFFEE AND CIGARETTES
1月26日(木)福岡(警固)呑処 岡ひろ
1月28日(土)米子 海あに💋
1月29日(日)岡山Record BAR COZY
1月30日(月)兵庫IL grazie伊丹店
2月9日(木)名古屋 ROLLING MAN
2月10日(金)京都Bar USAGI
2月11日(土)浜松Esquerita68
2月12日(日)東海市 Funky LIVE Diner ダイナマイト
2月17日(金)佐賀 雷神💋
2月18日(土)福岡 Bar KINGBEE💋
2月19日(日)大分・宇佐 Michiyard cafe
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【THE HUNDREDS 佐々木モトアキ×NOBUYAN’ Special Acoustic Live Tour 2022 “Only 2Men-6Days”】
12月25日(日)名古屋 ROLLING MAN
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【TWO HUNDREDS 佐々木モトアキ×NOBUYAN’ Special Acoustic Live Tour 2023 東京公演 】
1月7日(土)東京・ZINC Asakusa
↓チケットご予約&公演詳細・共演者情報はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12768882625.html

【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神” Autumn/Winter 2022 Japan Tour】
11月10日(木)大分・日田Chewing Gum
11月11日(金)佐賀 雷神
11月12日(土)福岡・雑餉隈ZASSHO JAM
11月13日(日)熊本・八代7th chord
11月19日(土)札幌Log
11月20日(日)釧路 ガソリンアレイ
11月26日(土)高円寺MOONSTOMP
12月17日(土)埼玉・所沢MOJO
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【佐々木モトアキ×Keith “唄うたいと雷神” Spring/Summer 2023 Japan Tour #1】
2月3日(金)富山・高岡GOOD FELLOWS
2月4日(土)金沢JealousGuy
2月5日(日)新潟 Live Bar Mush
2月23日(木・祝)広島NANA
2月24日(金)岡山Desperado
2月25日(土)米子 海あに
2月26日(日)松江MUSICA LIBERUM @Miz
3月4日(土)横浜Bar Brixton Market
3月5日(日)静岡・三島 ぐらBar’s
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佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。

佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。
例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
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音楽以外のライティングとして、WEBページの作成・リニューアル、各種パンフレット作成に伴う「店舗のご紹介」「メニューご紹介」「企業・会社のご紹介」「商品のご紹介」などなど様々なPRに関わるお仕事も承ります。
音楽、人、食、商品、街(地域)…私たちが関わるものすべてには“ものがたり”があります。
あらゆるものに存在する、ルーツや“人の想い”を伝えながら「誰が読んでもわかりすい読み物」をお作りいたします✒︎
お気軽にご依頼のご相談・ご連絡ください♪
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【佐々木モトアキ プロフィール】
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【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
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