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リオとトーキョーをつなぐ歌──スカパラがブラジルで奏でる「上を向いて歩こう」

2016.07.22

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世界を股にかけて活躍する、東京スカパラダイスオーケストラ。ヨーロッパ、北米、アジアなど、これまでに数多くの国や地域で熱いライブを繰り広げてきた彼らは、昨年11月にもメキシコで6万人の大観衆を大いに沸かせてきたばかりだ。

メキシコでのライブ後、彼らはブラジルへと渡った。ひとつの目的は、リオの貧困地区ファベーラの子どもたちに金管楽器の演奏を教えるワークショップ〈ファベーラ・ブラス・プロジェクト〉で、現地の子どもたちとともに演奏することだった。

スカが生まれたジャマイカのキングストンに〈アルファ・ボーイズ・スクール〉というカトリック教徒学校がある。恵まれない子供たちやストリートの子供たちに楽器を持たせ、音楽を教えるプログラムを取り入れたこの学校は、スカタライツのメンバーやリコ・ロドリゲスなど多くのミュージシャンを輩出してきた。そういった背景を持つスカに影響を受けてバンドをはじめたスカパラのメンバーたちが、今度はファベーラの子どもたちと交流し、ジャマイカから日本、ブラジルへとつながる音のバトンを受け渡すように音楽の楽しさを伝えていた。

ブラジルへ渡った、もうひとつの目的。それはある曲のレコーディングだった。永六輔・作詞、中村八大・作曲、坂本九・歌で1961年に発表された「上を向いて歩こう」。海外でもリリースされ、アメリカのビルボード誌では3週連続1位を獲得したこの曲は、日系移民の多いブラジルでもずっと親しまれてきた。それをスカパラがブラジルで現在大人気を誇るラッパー〈エミシーダ〉とともに、新たな解釈でカバーするというコラボレーションを展開することになったのだ。


完成した「Olha pro céu(オーリャ・プロ・セウ)」は、レゲエとブラジル音楽を融合させたようなリズムがユニークなナンバー。スカパラが奏でる「上を向いて歩こう」のメロディに乗せて、ファベーラ出身のエミシーダが「となりのトトロ」「幽☆遊☆白書」「NARUTO」といったブラジルの人たちにも馴染みの深い日本のマンガ/アニメ作品を引き合いに出しながら、音楽がブラジルと日本の架け橋になるというメッセージをラップしていく。

tspo_emicida_2015photo_v1 のコピー
7月24日にスカパラとしては初となる、ブラジル単独公演をサンパウロにて敢行。また7月29・30日には日本ブラジル共同制作によるポップスコンサート「上を向いて歩こう~Olha pro céu~(オーリャ プロ セウ)」に出演。このイベントは、日本の文化や芸術をさまざまな形で世界各地に向けて発信〈国際交流基金(Japan Foundation)〉が、リオ・デ・ジャネイロ オリンピック・パラリンピック開催にあわせて、リオからトーキョーへとバトンをつなぐ日本・ブラジル共同による文化交流事業一環で行われるもの。スカパラ、エミシーダの他に、今年デビュー30周年を迎えるマルシアと、ラテン・グラミーを受賞したMPBシンガー、ヴァネッサ・ダ・マタが共演。テーマ曲「上を向いて歩こう」を各アーティストがそれぞれ歌う他、スカパラとエミシーダ、マルシアとのコラボも予定されている。



TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA GIG in San Paulo.
7月24日(日)サンパウロ Clash Club


日本ブラジル共同制作ポップスコンサート「上を向いて歩こう~Olha pro céu~」
7月29・30日(土・日) リオ・デ・ジャネイロ VIVO RIO
出演
日本:マルシア、東京スカパラダイスオーケストラ
ブラジル:Vanessa da Mata(ヴァネッサ・ダ・マタ)、Emicida(エミシーダ)
特別ゲスト:Favela Brass (ファヴェーラ・ブラス)
http://www.jpf.go.jp/j/project/culture/perform/oversea/2016/06-01.html


Tokyo Ska Paradise Orchestra『Seleção Brasileira』

Tokyo Ska Paradise Orchestra
『Seleção Brasileira』

(cutting edge)

  • Amazon

  • ブラジル限定ベスト盤。コラボ楽曲「Olha pro céu”(オーリャ・プロ・セウ)〜上を向いて歩こう〜」収録。日本国内では9月7日リリース予定。

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