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エスカ──個性あふれる歌声とエクレクティックな音楽性が魅力の女性シンガー・ソングライター

2016.04.04

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ロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター〈エスカ(ESKA)〉。ジンバブエの血を引く彼女は、90年代後半からシンガーとしての活動を開始。これまでにコートニー・パイン、グレイス・ジョーンズ、ニティン・ソーニー、シネマティック・オーケストラ、マシュー・ハーバート・ビッグバンドなどと共演してきた。

2013年には、マシュー・ハーバートやデイヴ・オクムを共同プロデュースに迎えて制作したデビューEP『Gatekeeper』を発表。ケイト・ブッシュやジョニ・ミッチェルを引き合いされる、ミステリアスで表現力豊かな歌声が話題を集めると、2015年にはデビュー・アルバム『Eska』をリリース。前作同様にエスカ自身とマシュー、デイヴらの共同プロデュースにより完成した本作で、〈マーキュリー・プライズ2015〉にエイフェックス・ツインらと並んでノミネートされた。

スライドギターの不穏な音色とエフェクティブな音響を背景に独特の歌声が響き渡り、そこに少しずつエレピやドラムの音色が重なっていく様がなんともゾクッとさせられるスローなリズム&ブルース曲「This is How A Garden Grows」にはじまるESKAのデビュー・アルバムは、高音から低音までコロコロと転がるように自在に変化する独特な歌唱が存分に味わえる「Gatekeeper」「Rock of Ages」、ポーティスヘッドあたりを連想させる耽美なサウンドを背景に力強くも流麗な歌を聴かせる「Boundaries」、アフリカ音楽からのルーツを色濃く反映させながら、どこかアイリッシュ音楽の匂いも漂わせる「She’s in the Flowers」、ファレルなどに代表される現代のR&Bと変拍子のリズムをミクスチャーさせたような「Shades of Blue」、アリワ・サウンズの流れを汲むUKレゲエ「Heroes & Villains」、チェンバー・ポップな「To Be Remembered」、自身の声を多重録音したアカペラで神秘的な響きを奏でる「Dear Evelyn」、ドリーミーなバラッド「So Long Eddy」……と多彩なサウンドを展開し、全10曲ながら十分すぎる聞き応えを与えてくれる(日本盤にはボーナストラック2曲追加)。

フォークやエレクトロニカ、クラシックにレゲエ、ジャズ、そしてアフリカ音楽と、さまざまなエッセンスをナチュラルに取り込んでいくエクレクティックなセンスは、多様な文化が入り混じるロンドンだからこそ育まれたものだろう。多彩なサウンドで描かれていく世界を、エスカはその個性あふれる歌声で自由に羽ばたくように歌い上げていく。


エスカ『Eska』

エスカ
『Eska』

(P-vine)


Eska official website
http://www.eskaonline.com/

エスカ「This Is How A Garden Grows」 MV
エスカ「She’s In The Flowers」 Live
エスカ「This Is How A Garden Grows」 Live

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