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KIRINJI──メジャー・デビュー20周年を迎えてさらなる進化を遂げた、ダンサブルなポップ・アルバム

2018.07.03

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肉体的なグルーヴとエレクトロニクスを融合させた、現行のダンス・ミュージックやヒップホップに並べても引けを取らない攻めのサウンドで、日本のポップ・ミュージックの新たな可能性を示したアルバム『ネオ』(2016年)が今なお鮮烈な後味を残すKIRINJI。

2017年11月にはいつか(Charisma.com)のラップをフィーチャーしたシングル「AIの逃避行 feat. Charisma.com」をリリース。その年の12月末には、メンバーだったコトリンゴがソロ活動に専念するために脱退し、バンドは新たな局面を迎えた。


そんなKIRINJIが、2年ぶり通算13枚目となるニュー・アルバム『愛をあるだけ、すべて』を完成させた。SANABAGUNのホーン隊をゲストに迎えファンキーに幕開ける「明日こそは~It’s not over yet」、先行シングルとしてリリースされた「時間がない」をはじめ、作風は前作『ネオ』からの延長線上にあるといえるが、アルバム全体としては前作以上にエレクトロニクスを多用したクリアでクールな音像が印象的だ。


スクエアなビートに絡む生楽器の揺れやズレ、そして弓木英梨乃のキュートな歌声とのギャップが妙に心地よいソウル・ナンバー「After the Party」。アーバンでメランコリックなミッド・チューン「新緑の巨人」。ドレイクの「Passion Fruit」に影響を受けたというトロピカルな風合いのリフに、オートチューンで処理された堀込高樹のボーカルが冷ややかに響く「silver girl」……と、近年のダンス・ミュージックに通ずる引き算の美学が貫かれた、派手な展開や起伏を排するシンプルな構造ではあるが、ポップスとしての聴きごたえもしっかりと残すあたりが、さすがKIRINJIの手腕といおうか。

メジャー・デビュー20周年という節目に、またしてもフレッシュな進化を遂げたKIRINJI。『愛をあるだけ、すべて』に収録されたダンサブルな楽曲群が、ライブの生演奏でどのように変化していくかも楽しみだ。


KIRINJI『愛をあるだけ、すべて』

KIRINJI
『愛をあるだけ、すべて』

(Verve/ユニバーサルミュージック)


KIRINJI TOUR 2018
7月14日(土)福岡・天神 スカラエスパシオ 
7月19日(木)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
7月20日(金)愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
7月25日(水)東京・渋谷 CLUB QUATTRO
7月26日(木)東京・渋谷 CLUB QUATTRO

other schedule
8月31日(金)Slow LIVE’18 in 池上本門寺 15th anniversary (w/サニーデイサービス 他)

official website
http://natural-llc.com/kirinji/

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