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畠山美由紀──冨田恵一をプロデュースに迎え、カラフルな装いで表情豊かな歌声を聞かせる充実のアルバム

2019.01.29

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 時に清廉で、時に妖艶で、時に敬虔で──巧みなボーカル表現の中に、女性のありとあらゆる表情を投影していくような。畠山美由紀の歌声を聴くと、その美しさにうっとりと浸りながらも、どこかで本心を見透かされたような気持ちになって、ドキリとさせられる。

 宮城県気仙沼市に生まれた畠山美由紀は、上京後、90年代半ばから、小島大介と結成したデュオ〈Port of Notes〉や、無国籍音楽楽団〈Double Famous〉などの活動で、その歌声を聴かせてきた。

 2001年にシングル「輝く月が照らす夜」でソロ・デビューを果たすと、オリジナル・アルバムをはじめ、カバー集などコンスタントにリリースを続けてきた。また、松任谷由実、大貫妙子、セルジオ・メンデス、ジェシー・ハリスらとの共演を果たし、さらには数多くのTV CMにシンガーとして起用されるなど、常に女性ボーカリストの一線を走り続けてきた。一方で、2011年3月に起こった東日本大震災で甚大な被害を受けた故郷・気仙沼に向けた「わが美しき故郷よ」と題した詩を発表。以降、復興支援に寄与する活動も継続して行なっている。

 ここ数年はギタリスト小池龍平とのデュオ編成のライブを中心に、活動再開したPort of Notesでも活躍する畠山美由紀が、オリジナル・アルバムとしては5年6ケ月ぶりとなる新作『Wayfarer』を完成させた。

 今回のアルバム『Wayfarer』には、プロデューサーとして冨田恵一を起用。冨田とは、2003年発表の冨田ラボのファースト・アルバム『Shipbuilding』に「耐え難くも甘い季節」にゲスト・ボーカルとして参加し、その後も畠山の2ndアルバム『WILD AND GENTLE』の一部楽曲や、堀込泰行・畠山美由紀・ハナレグミによるコラボ曲「真冬物語」の編曲/プロデュースを冨田が担当。さらに2016年に開催されたソロ・デビュー15周年記念コンサートのバンマスとしてバックアップするなど、畠山のソロ活動初期から現在に至るまで所縁の深い存在だ。

 新作『Wayfarer』には、髙城晶平(cero)、堀込高樹(KIRINJI)、小島大介(Port of Notes)、水野良樹(いきものがかり)といった豪華作家陣が参加したほか、畠山自身が作詞を手がけた曲も多数収録。幕開けを飾る「BLINK」や「フルデプス」「口脣には歌を」を筆頭に、R&Bやネオソウルの潮流とシンクロするようなサウンド。また「チャイナタウンの朝」や「サウンド・セイリング」などは、アブストラクトな音世界に没入していくような歌を聴かせたりと、これまでの彼女のイメージとは異なる作風にも果敢にチャレンジしている。片や、「会いに行く」「呼吸するより速く」「ふたりの出来事」「愛はただここにある」といった、彼女の真骨頂といえようアダルト・オリエンテッドなポップ・ミュージックも美しく存在している。

 多彩なサウンドを身に纏い、着こなしていく畠山美由紀。その装いごとに表現を巧みに変えていきながらも、彼女の歌声の芯にある魅力は、より色濃く明確になっていくような。18年近くに及ぶキャリアの中でも、もっとも挑戦的でいて、もっとも充実した傑作アルバムに仕上がっている。


畠山美由紀『Wayfarer』

畠山美由紀
『Wayfarer』

(Rambling RECORDS)



畠山美由紀 ニューアルバム発売記念コンサート「Wayfarer」
2019年3月16日(土)東京・都立大学 めぐろパーシモンホール 大ホール
2019年3月21日(祝)大阪・心斎橋 Music Club JANUS

official website
http://hatakeyamamiyuki.com
https://www.hatakeyamamiyuki-wayfarer.com/

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