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ヴァン・モリソンと緑の風景

2015.05.06

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「TAP the COLOR」連載第80回

まだ来日したことのないレジェンドの一人であり、孤高のキャリアを積み重ねてきたヴァン・モリソン。新作『Duets』ではボビー・ウーマック、ジョージ・ベンソン、マーク・ノップラー、スティーヴ・ウィンウッドらと自作曲を共演。70歳になった現在でも第一線で活動する姿には感動すら覚える。その音楽性が極めて神秘的であり自然的なのは、故郷アイルランドの風景の中に宿る精神や魂といったものが、彼という人を通じて音として生まれ変わっているからだろう。今回はアイルランドのナショナルカラーであるグリーンの中のヴァン・モリソンを紹介。

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astral-weeks 『Astral Weeks』(1968)
ヴァンが育ったアイルランドのベルファストでの少年時代の風景が全編に描かれ、聴き手を遠い何処かへ連れて行ってくれる体験。録音のために集められたミュージシャンたちとは念密な打ち合わせなど一切なく、ヴァンのギターと歌にただ好きなように合わせていくジャムセッション。「Sweet Thing」「Madame George」など全8曲収録。史上最高のロックアルバムと称されるが、そのサウンドはフォークとジャズとブルースとクラシックなどが融合してジャンルを超えてしまった。誰も聴いたことがなかった作品なので当時はセールスも振るわなかったが、33年経ってゴールド・ディスクに認定された。影響力は計り知れない。


4939564372_b2b992259c_b 『His Band and the Street Choir』(1970)
『Astral Weeks』『Moondance』という歴史的名盤に続いてリリースされた4枚目。結婚生活や子供の誕生、ウッドストックでの落ち着いた田舎生活といった環境の中、とてもリラックスしたR&B中心のサウンドが広がる。「Domino」が全米9位のヒットに。ウッドストックがフェスの影響で観光客やヒッピーで埋め尽くされたため、この後ヴァンは西海岸に移住した。

Van_Morrison-Tupelo_Honey-Frontal 『Tupelo Honey』(1971)
通算5枚目。本作ではカントリーを基盤にしたヴァン独自のソウル・ミュージックが聴ける。サンフランシスコから北に10マイル、マリン・カウンティのサンラファエルの丘の一軒家での新生活。ジャケットの写真には、妻ジャネットを白い馬に乗せて手綱を引くヴァンの姿が。「ここにはいいエネルギーが息づいている。東よりもここの人間の方が笑っている。ベルファストで音楽を始めた頃に近い何かを感じる」。

61Pa5hLpn3L 『Veedon Fleece』(1974)
ジャネットとの離婚によって傷心状態だったヴァンは、1973年10月に故郷ベルファストに戻ってアイルランド西部を3週間かけて車の旅をする。この時に自らの心にケルト回帰が芽生え、新曲を書き続けた。ジャケット写真は旅の途中での撮影。ヴァンのこの後、コンサート活動を休止し、10年近いアメリカ生活に別れを告げて、1976年春にイギリスへ帰国する。

*音楽評論家/翻訳家の五十嵐正さん監修によるヴァン・モリソンの決定版が発売されました。最新のライヴリポート、バイオグラフィー、全アルバム評、貴重なインタビュー集などを収録した充実の内容となっています。

『CROSSBEAT Special Edition ヴァン・モリソン』

『CROSSBEAT Special Edition ヴァン・モリソン』
(監修/五十嵐正)


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http://www.tapthepop.net/author/nakano
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