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「TAP the COLOR」連載第135回
1986年から始まった「ロックの殿堂」(Rock and Roll Hall of Fame) は、デビュー25年以上のミュージシャンやバンドを対象としているが、2011年のセレモニーでは、ダーレン・ラヴ、ドクター・ジョン、トム・ウェイツ、アリス・クーパー・バンド、ニール・ダイアモンドらが殿堂入りした。
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フィル・スペクター『A Christmas Gift for You from Phil Spector』(1963)
自ら想い描いた壮大な音世界=音の壁(ウォール・オブ・サウンド)を完成させるために、録音技術の追求やスタジオミュージシャンへの要求を徹底したスペクター。そんな彼が自身のレーベル所属アーティストたちにクリスマスソングを綴らせた作品。栄光の頂点がここに。狂気の作とも。バックシンガーとしても有名なダーレン・ラヴの歌声も4曲聴ける。
ドクター・ジョン『Gris-Gris』(1968)
ドクター・ジョンと言えば、音楽のごった煮の官能が体験できる1972年の『Gumbo』を真っ先に挙げなければならないが、彼の記念すべきデビュー作がこれ。ブードゥ教文化が表現された怪作とされるが、再評価も高まっていく。ラストに収録された「I Walk On Gilded Splinters」は95年にポール・ウェラーがカバーした。アメリカ南部の風景断片だ。
トム・ウェイツ『Nighthawks at the Diner』(1975)
トム・ウェイツの3作目で、レコーディング・スタジオに観客を呼んでナイトクラブのようにして録音した作品で、ビート詩人のように語り歌う。ジャケットの写真が素晴らしい。73年のデビュー作『Closing Time』から80年の『Heartattack and Vine』におけるアサイラム時代は、場末の人々や風景を歌う独特の世界が最も堪能できる。アンソロジー盤『Asylum Years』も持っておきたい。
アリス・クーパー『Killer』(1971)
か弱い女の子の名前とはかけ離れたホラー&ショックなステージとサウンドで、ハードロックの最重要人物の一人となったアリス・クーパー。69年にアルバムデビューして以来。現在も活動中。次作『School’s Out』で本格的なブレイクを果たすことになるが、本作をアリスの傑作と評価するファンも多い。また、俳優としてもその特異なキャラを生かしている。
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