★ダウンロード/ストリーミング時代の色彩別アルバムガイド
「TAP the COLOR」連載第200回〜BLUE〜
1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。暑い夏。8月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?
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イーグルス『One of These Nights』(1975)
イーグルスを真のアメリカントップバンドに押し上げた名作。チャート上でも初めてのNo.1に上り詰めた。よりハードに、そしてファンキーになったサウンドでシングルヒットも連発。タイトル曲のほかに「Lyin’ Eyes」や「Take It to the Limit」といった代表曲が生まれた。そんな中、オリジナルメンバーのバーニー・レドンが音楽性の相違などもあって脱退。イーグルスはいよいよ『ホテル・カリフォルニア』へ向かって動きだす。
ローリング・ストーンズ『Emotional Rescue』(1980)
70年代にリリースしたすべてのオリジナルアルバムがナンバーワンになったストーンズ。本作は80年代のスタート作で、もちろん1位を獲得。一聴すると地味なアルバムと思われがちだが、オープニングの「Dance」からクロージングでキースが歌う「All About You」まで、一度ハマるとリピートしたくなる曲がラインナップされている(75曲も録音して厳選された)。今では信じられないが、この頃のストーンズは2年に1枚のペースでアルバムを出していた。
マドンナ『True Blue』(1986)
前作『ライク・ア・ヴァージン』で世界的ポップスターとなったマドンナの3作目。大きな期待とプレッシャーにもめげずに音楽性を広げ、86年夏にトップを独走。本作でもシングルヒットを連発した。メジャー感とアングラ感のバランスの素晴らしさは今も変わらず。一度見たら忘れない印象的なジャケットは写真家ハーブ・リッツが撮影。
ホイットニー・ヒューストン『Whitney』(1987)
当時、待望の新作として歓喜したホイットニーのセカンド。「I Wanna Dance with Somebody (Who Loves Me)」「Didn’t We Almost Have It All」「Where Do Broken Hearts Go」など、フロアを揺るがしたダンスナンバーから、マイケル・マッサーの手による至極のバラードまで4曲ものナンバーワンヒットが生まれた。また、好景気が幕開けたばかりの日本のナイトライフでもサウンドトラック的役割を果たした。1987年を代表するアルバム。
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