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12月のナンバーワンアルバム①〜ハート/ノー・ダウトほか

2017.12.06

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「TAP the COLOR」連載第223回〜RED〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。12月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ハート『Heart』(1985)
アンとナンシーのウィルソン姉妹を看板とするハートは、レッド・ツェッペリンのフォロワー的なハードロック・バンドとして活動。70年代後半にヒット曲を飛ばすが80年代前半になって低迷。しかし、MTV時代に合わせるかのようにアンはサントラ向けのラブソングを歌いつつ(『フットルース』)、バンドも85年に本作で大復活(1週1位)。「What About Love」「Never」「These Dreams」「Nothin’ at All」など5曲のシングルヒットを生み、ベストセラーを記録した。姉妹は今やロックの伝説的存在だ。


ノー・ダウト『Tragic Kingdom』(1995)
カリフォルニアの売れないスカパンク・バンドが大化けしたのが本作。1年掛りでトップに立った(9週1位)。「Just a Girl」「Spiderwebs」のほか、ビルボードのエアプレイ・チャートで16週1位になった「Don’t Speak」などを収録。看板のグウェン・ステファニーはソロとして今も最前線で活躍中。

スライ&ザ・ファミリー・ストーン『There’s a Riot Goin’ On』(1971)
70年代のブラック・ミュージックはスライのファンクから始まった。そしてファンクはスライが出発点だ。白人・黒人・男女混成グループである点、サンフランシスコ出身である点など、スライ独特な個性を総括したのは70年発表の『Greatest Hits』だったが、続く本作(2週連続1位)では下降感覚や苦悩風景が漂う冷たいファンクを創造。聴くこと自体が一つの体験となる。代表曲「Family Affair」を収録。

ビートルズ『1』(2000)
解散から50年近く。今なお熱狂的なファンや影響力を持ち続けるビートルズ。本作は英米チャートで1位になった27曲をまとめたベスト盤(8週1位)。世界でベストセラー化した。一つ一つの販売に対してイベント的な意味合いを持たせる。製品は数年に一度の小出しにして、大々的なプロモートを打つ。それが息の長い人気を保つ秘訣だということを、この伝説のバンドは教えてくれる。

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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