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「TAP the COLOR」連載第288回〜BLUE〜
1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。9月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?
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ジャーニー『Escape』(1981)
スティーヴ・ペリー、ニール・ショーン、ジョナサン・ケイン、ロス・ヴァロリー、スティーヴ・スミス。全盛期のジャーニーが放った大ヒットかつ超ベストセラー・アルバム(1週1位)。日本では「産業ロック」などと揶揄されたが、それが一体何だと言うのか。一緒に歌えるロックにどれほどのリスナーが救われたことだろう。「Don’t Stop Believin’」「Open Arms」は、その後ゼロ年代になって再評価。多くのTVドラマや映画に使用され、次世代にも知れ渡った。
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ボーイズIIメン『II』 (1994)
同時期のジョデシーと並んで、ニュー・ジャック・スウィングを経た90年代前半の男性コーラスグループ群を牽引したのがこの4人組。1992年の「End of the Road」はビルボードチャート13週連続1位という特大ヒットとなり、彼らの一級のバラードの世界に魅せられた人も多い。本作はその成功の後にリリースされたセカンド(5週1位)で、ここからも「I’ll Make Love to You」(14週連続1位)と「On Bended Knee」(6週1位)のビッグヒットが生まれた。
リーバ・マッキンタイア『Keep On Loving You』(2009)
デビューから40年以上のキャリアを持つカントリー音楽の女王であり、テイラー・スウィフトら若い世代のスターも憧れる大歌手、それがリーバ・マッキンタイア。アメリカではスーパースターである。70年半ばにデビューするも長い不遇の時代を過ごす。カントリーチャートで初めてナンバーワン・ヒットを出したのは1983年のことだった。本作は彼女にとって2枚目の総合チャート1位(1週)に。カントリー界での凄さは以下のチャート上の記録を見てほしい。
カントリー音楽のスーパースターたち(アルバム編)
カントリー音楽のスーパースターたち(シングル編)
ルーク・ブライアン『Crash My Party』(2013)
ルーク・ブライアンは現在のカントリー音楽で最も人気の高いアーティストの一人。日本では知名度など望むべくもないが、アメリカでは出せばナンバーワン・ヒット確実のスーパースターである。「カントリーは気になるけど、どこから入っていいか分からない」人も多いと思うが、本作(2週1位)のようなメジャーな作品から手をつけるのがオススメ。日本の風景の中でも意外と聴けるので。
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