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11月のナンバーワンアルバム⑪〜アイザック・ヘイズ/ピーター・ポール&マリーほか

2018.11.28

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「TAP the COLOR」連載第304回〜BLACK〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。11月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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エミネム『8 Mile』(2002)
“8マイル”とはアメリカのミシガン州デトロイトに実在するストリートの名前。南側に位置するデトロイト・シティは住民の大半を黒人が占める街で、北側のウォレンは同様に白人が占める街になっていた。ヒップホップに生きる者にとってはシティは本物。郊外は偽物に過ぎない。この映画は先に脚本があり、アーティストがそこに入った。だが、デトロイトのクラブでラップバトルに挑み続けていた若かりし頃のエミネムの姿とシンクロする。サントラ(2週1位)からは「Lose Yourself」が大ヒットした。
(詳しくはこちらのコラムをお読みください)
8 Mile〜マイクを一度握ったら“裁かれる世界”を舞台にしたエミネム主演作


ブルース・スプリングスティーン『Tunnel of Love』(1987)
バックストリートのロックンローラーが世界的にその名を知られることになった前作『Born in the U.S.A.』から3年。38歳になったボスはほとんどの曲を一人で多重録音して、歌の世界も内省的なものに。それでも1位(1週)を獲得し、「Brilliant Disguise」やタイトル曲がヒット。Eストリート・バンドから一歩離れ、成熟したロックを聴かせる。

ピーター・ポール&マリー『In the Wind』(1963)
1962年にデビューした3人組のフォークグループ、通称「PPM」の3枚目(5週1位)。有名なボブ・ディランのカバー「Blowin’ in the Wind」は本作で聴ける。だが、本作での一番の聴きどころは古いフォークソングの「Stewball」だろう。ジョン・レノンはこのバージョンをきっと耳にしていたに違いない。「Happy Xmas (War Is Over)」と聴き比べよう。

アイザック・ヘイズ『Shaft』(1971)
『スーパーフライ』と並ぶ70年代ブラックムービーの代表作『黒いジャガー』のサントラ盤(1週1位)。音楽は60年代からスタックスでサザン・ソウルを育んだ男アイザック・ヘイズ。ニュー・ソウル全盛時代の中で、アルバム/テーマ曲ともに全米1位を記録した。その後、サンプリングされ続けて若い世代にも知れ渡ることに。2008年8月10日死去、享年65。

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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