ジョー・ストラマーにとって、2001年の5月24日は早朝から夜まで何かと忙しい1日となった。その日は、ボブ・ディランが60歳の誕生日を迎えていた。
朝早くからロンドンのスタジオで、BBCのプログラム「TODAY」にコメンテーターとしてゲストとして出演。祝福の思いを込めて、このように意見を述べた。
ボブ・ディランがロックの新しい境地を開拓したと思う。ディランなしでは、ロックはここまで人を魅了する音楽にはなっていなかった。
ジョーは、ディランが音楽シーンに与えた影響、音楽史に残した足跡について熱心に語り、その場で「Blowing In The Wind(風に吹かれて)」と「Just Like Tom Thumb’s Blues」の2曲を、ギターの弾き語りで披露した。
番組が終わると、今度は「アイヴァー・ノヴェロ賞」の式典に出席するため、ジョーはパーク・レーン・ホテルに向かう。
「ジ・アイヴァーズ (The Ivors)」として親しまれているこの賞は、英国作曲家協会 (BASCA)の主催で、音楽著作権管理団体「PRS for Music」が後援している。
「ブリティッシュ・ミュージックへの多大な貢献を果たした」ということで、ザ・クラッシュが賞を受けることになり、会場ではオリジナルメンバーの4人全員が揃うことになっていた。
1982年5月にドラムのトッパー・ヒードンが解雇されて以来、なんと19年ぶりの再会となった。
ファンはこれを機に再結成するのではないかと期待し、実際に翌2002年にはグラミー賞でロックの殿堂に選ばれることになった場合のライブの話も浮上してきた。
だが、その年の12月22日、ジョーが心臓疾患のためこの世を去ったことにより、4人によるライブが実現しないままに終わった。
結果として4人揃っての演奏は、1982年5月20日のオランダが最後となった。そして2003年2月のグラミー賞授賞式では、ジョー・ストラマーの追悼特別ライヴが行われた。
ヴォーカルを受け持ったのはスティーヴ・ヴァン・ザント(E ストリート・バンド)、デイヴ・グロール(元ニルヴァーナ、現フー・ファイターズ)、ブルース・スプリングスティーン、エルヴィス・コステロだった。
(このコラムは2014年5月24日に公開されたものです)
グラミーの舞台でジョー・ストラマーに捧げられた「ロンドン・コーリング」
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