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竹内まりやが「一緒に歌う相手は大瀧さんしかいない」と決めていたラブソング

2025.03.20

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1967年にフランク・シナトラと娘のナンシー・シナトラが歌った「Something Stupid(恋のひとこと)」は、全米No. 1ヒットになったデュエットの定番ラブソングだ。


スタンダードとして歌い継がれてきた「恋のひとこと~Something Stupid~」は、2001年にイギリスの歌手ロビー・ウィリアムスとアメリカの映画女優ニコール・キッドマンがデュエットすると、全英でナンバーワンになるリバイバル・ヒットを記録した。

それから1年後。竹内まりやは大瀧詠一と一緒に、長年のお気に入りの曲として、この「恋のひとこと」を歌うことになった。

きっかけは山下達郎のラジオ番組『サンデー・ソングブック』(JFN系列)である。竹内まりやはこの番組に、夏と年末の2回、“夫婦放談”にゲスト出演することが恒例だった。そこではカラオケ素材を使って、好きなオールディーズを歌うというコーナーが人気を呼んでいた。

1960年代を過ごした少年少女の例にもれず、竹内まりやのお気に入りはニール・セダカやコニー・フランシスら欧米のポップスと、それらの洋楽を日本語でカバーしていた弘田三枝子や坂本九だった。

余興にしておくのがもったいないようなそのコーナーは、やがて1960年代のポップ・スタンダードやカンツォーネ、ボサノヴァなど、竹内まりやにとってのルーツ・ミュージックを現代によみがえらせるカヴァー・アルバムになる。

昔からお気に入りだったフランク&ナンシー・シナトラ親子によるこのヒット曲をカバーするのなら、一緒に歌う相手は大瀧さんしかいない、と決めていました。最初で最後のデュエットになろうとは夢にも思わず、スタジオで2人並んで声を発した時の、あの嬉しさと感動は今でも忘れられません。


年が明けると、「サンデー・ソングブック」は恒例となっている、山下達郎と大瀧詠一による”新春放談”をオンエアした。そこでもお年玉プレゼントとして、再び「恋のひとこと」がオンエアされたのである。


大滝詠一、山下達郎、竹内まりやによる「Niagara Triangle Vol.3」の構想も、番組収録中に持ち上がったのだが、残念ながらそれは実現しなかった。

「恋のひとこと」が収録された竹内まりやのカヴァー・アルバムは、『Longtime Favorites(ロングタイム・フェイヴァリッツ)』として完成。そして2003年の秋に発売になり、アルバム・チャートで初登場1位を獲得した。

また、2013年に他界した大瀧詠一のオールタイム・ベストアルバム『Best Always』には、シングルを中心に35曲が収められているが、生前最後の公式レコーディングとなった「恋のひとこと」で幕を閉じている。

竹内まりやは、その「Best Always」のインナーに寄せた文章で、こんなふうに心境を述べていた。

いつか達郎と3人で「ナイアガラ・トライアングル3をやろう」という計画が叶えられなかったことを悔やんでいます。大瀧さんの残して下さった「ポップス魂」をしっかり継承し、彼に喜んでもらえるような音楽を作り続けることで恩に報いたいと思っています。


歌も、音楽も、そして人への思いも、こうして人から人を介して、後世へと引き継がれていくのである。


(注)引用はすべてベストアルバム「Best Always」の解説に寄せられた、竹内まりやのメッセージからの引用です。

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