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小泉今日子が恩師・久世光彦のために続けている舞台『マイ・ラスト・ソング』

2025.03.21

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女優になれたのは「久世さんのおかげ」だと語る小泉今日子は、「前略久世光彦様」という書き出しの手紙で、『マイ・ラスト・ソング』の成長について次のように触れている。

あなたが大好きだった、歌について綴ったエッセイ「マイ・ラスト・ソング」を、浜田真理子さんの素敵な歌声と私の朗読で聞いていただくという会をここ数年続けています。そちらにも聞こえていますか?

「浜田真理子の歌っていうのはなんともいいもんだねぇ」なんて感心していらっしゃるのではないかしら。それから、「小泉今日子は相変わらず朗読が下手だなぁ」と呆れていらっしゃるかも知れませんね。

ナレーションが上手にできなかった私に、毎日声を出して新聞を読め、と教えてくれたのは私が17歳の時でした。

私にとって恩師と言える唯一の存在。演技を通してたくさんのことを学びました。昭和の歌謡曲が好きなのも、純文学が好きなのも、センチメンタルが好きなのも、ユーモアが好きなのも、全てあなたの影響のような気がします。

出会う以前からあなたのドラマが大好きだった私ですしね。真理子さんも私と同世代。もちろん久世ドラマを見て育ったと言っていました。そんな私たちの『マイ・ラスト・ソング』は少しずつ成長しています。


2016年1月26日、第50回紀伊国屋演劇賞の授賞式が、東京・新宿の紀伊国屋ホールで行われた。個人賞を受賞して挨拶に立った小泉今日子は、「アイドル歌手だったので、舞台に立ったのは30過ぎてから。まぐれとならないように精進したいと思います」と喜びを述べた。

小泉今日子は2月4日で50歳を迎えるにあたって、以前から”節目なのでとても意識している”と語っていた。正月にオンエアされたテレビ朝日系『小泉今日子50歳 ニューヨーク』でも、正直にそのことをこう話した。

「この年になると、自分に残された時間っていうのを自然と意識するようになる。 これからをもっとアクティブに生きたい」


そんな彼女がコツコツと積み重ねているのが、久世光彦の書いたエッセイを舞台化した歌と朗読によるライブである。

作家で演出家だった恩師が、2006年3月2日に急逝したのをきっかけに始まった『マイ・ラスト・ソング』では、シンガー・ソングライターの浜田真理子がピアノの弾き語りで歌い、小泉今日子が朗読とトークで久世光彦がこよなく愛し、また涙した歌の数々を描き出していく。

koizumi

生前の久世光彦が書いたエッセイの「マイ・ラスト・ソング」には、軽く100を超える数の歌がとりあげられていて、歌謡曲からポップス、童謡や唱歌、讃美歌、軍歌、演歌、そして外国の曲も含まれている。

それらを一人で歌いこなすのは普通では考えられないが、「浜田さんなら、それができると直感した」ところから実現したという。

hamada

「浜田さんがいれば全部歌えるね」と思った小泉今日子は、「私は久世さんの文学者としての一面を、朗読で表現することならできる」とこの企画を進めたのだった。

東京の世田谷パブリックシアターで行われた初演以降、縁や絆がつながって山口県や鹿児島県、石川県、富山県、新潟県と、毎年どこかで必ず開催されてきた。

マイ・ラスト・ソング 山口チラシ

久世光彦の手がけたドラマからは、劇中歌や主題歌で多くのヒット曲が生まれている。天地真理「みずいろの恋」、堺正章「街の灯り」、浅田美代子「赤い風船」、郷ひろみ・樹木希林の「お化けのロック」「林檎殺人事件」、藤竜也「花一輪」、さくらと一郎「昭和枯れすゝき」、徳久広司「北へ帰ろう」。。。

なかでも天地真理と浅田美代子は、『時間ですよ』という人気ドラマが生んだアイドルといってもいいくらいだ。久世ドラマはタイアップによるヒット曲の先駆けとなり、ドラマからアイドルが生まれる先駆けともなった。

また、久世光彦は作詞家としても小谷夏や市川睦月のペンネームで、天地真理「ひとりじゃないの」、郷ひろみ「真夜中のヒーロー」、沢田研二「コバルトの季節の中で」、香西かおり「無言坂」といったヒット曲を書いている。

今年で9年目を迎える「マイ・ラスト・ソング」は恩師の没後10年にあたる。これまでとは少し変わって久世光彦が書いた歌謡曲や、番組から生まれた「街の灯」などの新たなレパートリーが増えるという。

*このコラムは2016年に配信されたものです。当時の情報をそのまま残してあります。

「街の灯り~Mr.Lonely」 浜田真理子


【追加公演】
浜田真理子×小泉今日子
「マイ・ラスト・ソング」~久世さんが残してくれた歌~


【ビルボードライブ東京】
4/14(土)
4/15(日)
1stステージ 開場15:30 開演16:30 / 2ndステージ 開場18:30 開演19:30
サービスエリア¥9,000-
カジュアルエリア¥7,500-(1ドリンク付き)

[ご予約・お問い合せ] ビルボードライブ東京 03-3405-1133
〒107-0052
東京都港区赤坂9丁目7番4号 東京ミッドタウン ガーデンテラス4F

【発売日】
Club BBL会員先行=3/09(金)
一般予約受付開始=3/23(金)

浜田真理子(歌・ピアノ)
小泉今日子(朗読)
久世光彦(テキスト)
佐藤 剛(構成・演出)

久世光彦『ベスト・オブ・マイ・ラスト・ソング』(文庫)
文藝春秋


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【オトナの歌謡曲ソングブックコンサート in YOKOHAMA】開催



1917年に開館した横浜の歴史的建造物「横浜市開港記念会館」(ジャックの塔)で、昭和の名曲を愛する一流のアーティストが集ってコンサートを開催!

昭和に憧れる若い人からリアルタイムで昭和歌謡に慣れ親しんだ人まで、幅広い世代が一緒に楽しめるコンサートです! “国の重要文化財”という、いつもと違う空間が醸し出す特別なひとときを、感動と共にお過ごしください!!

▼日時/2025年6月7日(土曜) 開場17時/開演18時
▼場所/横浜市開港記念会館講堂(ジャックの塔)

▼出演
浜田真理子 with Marino(サックス)
畠山美由紀 with 高木大丈夫(ギター)
奇妙礼太郎 with 近藤康平(ライブペインティング)
タブレット純(司会と歌)
佐藤利明(司会と構成)

▼「チケットぴあ」にて4月5日(土曜)午前10時より販売開始 *先着順・なくなり次第終了
SS席 9,500円 (1・2階最前列)
S席 8,000円
A席 6,500円
「チケットぴあ」販売ページはこちらから

▼詳しい情報は公式サイトで
「オトナの歌謡曲ソングブックコンサート in YOKOHAMA」公式ページ

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