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吟遊詩人になることを志してギターを手にしたエリック・クラプトン

2026.03.31

エリック・クラプトンがはじめて買ってもらったギターは、プラスチックでできたおもちゃのエルヴィス・プレスリー・モデルだったという。

本格的なギターを手にしたのは1958年、13歳のときだった。楽器屋の前を通る度に眺めていたドイツのホイヤー社製、12弦アコースティック・ギターを誕生日に買ってもらったのだ。

教えてくれる人もいなかったので、練習はレコードを聴いて真似るところから始まった。最初に練習したのはハリー・ベラフォンテの歌で流行った「スカーレット・リボンズ」だ。テープレコーダーに自分の演奏を録音しては確認し、納得がいくまで何度も繰り返していたという。

ギターの表側にはボールペンで大きく「ロード・エリック」と書き込まれていた。それは吟遊詩人になるんだという決意表明だった。

ところが、そのギターはお世辞にも弾きやすいと呼べるものではなかった。低い音から高い音にいくに従ってネックと弦の間隔が大きくなっていて押さえにくくなっていたからだ。さらには弦が1本切れてしまい、予備の弦もなかったのでしばらくは5本の弦だけで練習することとなり、悪戦苦闘の日々が続いた。

16歳になったクラプトンは、フリーマーケットでアコースティック・ギターを見つけると、それがいいギターだと直感的にわかったという。人前で弾くのが恥ずかしかったクラプトンは試し弾きもせず、2ポンド10シリングで買った。

そのギターはジョージ・ウォッシュバーンというアメリカのメーカー製で、ホイヤーのギターよりもかなりボディが小さく、ネックと弦の間隔も一定に低いので低音から高音まで押さえやすかった。

ついに私はフォーク・ミュージックにふさわしいギターを手に入れた。今や私は、自分がなるべきだと思っていた吟遊詩人になれるかもしれなかった。


新たなギターとともにクラプトンの演奏技術はめきめきと上達していき、少しずつ人前でも演奏するようにもなっていく。コーヒーバーやパブにも通い始め、そこではフォーク・ソングについて語り合える仲間とも出会えた。

そんなある日、友人から聴かせてもらったのがマディ・ウォーターズとハウリン・ウルフのレコードだった。

それが僕の決定打だった。それから、僕は後戻りして、ロバート・ジョンソンを発見してマディと結びつけた。


ブルースの虜になったクラプトンは吟遊詩人の道から舵を切り、独学でブルース・ギターの研究を始める。中でもクラプトンが手本にしたのはブルースの巨人、ビッグ・ビル・ブルーンジーだった。

テレビで「ヘイ・ヘイ」を弾いているのを見てノックアウトされ、何度もこの曲を練習したのだという。後年、クラプトンはMTVアンプラグドでこの曲を取り上げている。


人前で演奏するのが苦手で誰に教わることもなく、レコードと自分の耳だけでギターを練習してきたクラプトンは、ギターを通じて様々な人たちと出会い、ブルースと巡りあうのだった。

そして1963年、人気を集めつつあったバンド、ヤードバーズのギタリストに抜擢されると、クラプトンの名はその卓越したプレイで徐々に知れ渡っていくこととなる。



<参考文献>
・「エリック・クラプトン自伝」エリック・クラプトン著 中江昌彦訳(イースト・プレス)
・「ローリング・ストーン・インタヴューズ 80S」(CBSソニー出版)



エリック・クラプトン自叙伝

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