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季節(いま)の歌

冬が来る前に〜二人の絆と、想い出の坂道

2024.09.18

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山々が赤や黄色に染まる秋。紅葉の美しさが少しずつ色褪せてゆき…日本には冬の足音が近づいてきます。そして木枯らしが吹く頃に、冬の訪れとなる「立冬」を迎えます。

冬が立つ、という字から何となく意味が推察できそうですが、実のところ立冬にはどのような意味があるのでしょうか?

この「立」という字には新しい季節が始まるという意味があることから、立冬は冬が始まる日とされている。立冬を含めた立春、立夏、立秋は四立(しりゅう)と言われ、季節の大きな節目をあらわします。さらに細かく分けると、立冬は二十四節気の19番目の節気です。

二十四節気とは一年を24節に分け、それぞれに季節の節目となる言葉をあてはめたものです。半月ごとに季節の変化を表していることから特に農業に携わる方の目安として重宝されてきました。

暦上では立冬から立春の前日までを“冬”としている。今回の<季節(いま)の歌>は、日本のフォークデュオ「紙ふうせん」が1977年に発表したヒット曲にまつわるエピソードご紹介します♪


兵庫県神戸市灘区の王子動物園界隈。坂の下には港が広がり、振り返ると六甲山を仰ぎ見ることができる。港町(みなとまち)神戸の典型的な山手の風景である。

後藤悦治郎と平山泰代による夫婦デュオ「紙ふうせん」。二人にとって、この界隈は“特別な風景”なのだという。

兵庫県立尼崎北高校の同級生でもあった二人は、フォークグループ「赤い鳥」の解散直前に結婚し、1974年から「紙ふうせん」としての活動をスタートさせる。

その3年後の1977年11月に発売したシングル「冬が来る前に」が45万枚の売り上げを記録し、二人は一躍有名デュオとなる。

この歌には、二人を結婚へと導いたエピソードが秘められているというのだ。二人はあるインタビューで、当時のことをこんな風に振り返っている。

「確か22歳のときでした。王子動物園でデートして、僕の方から彼女にプロポーズしたんですが…」(後藤)
「この人ったら、桜かなにかの木に登って『OKしてくれなきゃ下りないよ!』って(笑)」(平山)


この日、後藤は30分ほど木の上で粘ったが…結局は平山に「二人の人生、まだ先が見えないのにYESなんて言えないわ」と、はぐらかされたという。

二人は気まずい雰囲気のまま…王子動物園と葺合(ふきあい)高校の間の坂道を下って家路を辿った。プロポーズを断られた後藤は、その帰り道の光景を記憶に焼きつけていた。それは、二人がまだ名も無いデュオを組んで一年も経っていない頃…1968年の夏の出来事だった。

後藤は歌詞を作ったときのことを、こんな風に回想している。

「晩秋のある日、冬支度をするためにアラジンの石油ストーブの芯を取り換えながら『冬が来る前にきれいにしないとアカンなぁ』とつぶやいたのがきっかけでして…バンドのメンバーだった浦野直が先に仕上げていたサビのメロディーを何気なくピアノで弾いていたら“冬が来る前に”というフレーズがはまったんですよ。」


この決定的なフレーズに誘発されるように、後藤の脳裏には“あの日”記憶に焼きつけていた帰り道の光景がフラッシュバックしてきて…一晩もかけずに歌詞ができあがったという。

まるでドラマの一場面のような “あの日”のプロポーズは、6年後に受け入れられ…夫婦となって「紙ふうせん」を始動させた後藤と平山。

王子動物園から港を見下ろす坂道は、二人にとって特別なパートナーと“めぐり逢えた”ウェディングロードとなった。
時代と共に変わりゆく町並に“特別な風景”を重ね合わせながら…二人は声をそろえる。

「ほろ苦い経験も含めて、青春の想い出がいっぱい詰まった大好きな風景です。」



【紙ふうせん オフィシャルサイト】
http://orange.zero.jp/kamifusen

紙ふうせん『冬が来る前に~なつかしい未来~』

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紙ふうせん『再会-新たなる旅立ち』

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