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季節(いま)の歌

太陽がくれた季節〜70年代の若者の姿を瑞々しく描いた人気ドラマの主題歌

2017.08.27

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この「太陽がくれた季節」は、1972年に発売された“青い三角定規”のヒット曲だ。クレジットには作曲:いずみたく、作詞:山川啓介と記されている。
学園青春ドラマの代表的作品『飛び出せ!青春』(日本テレビ系列)のテーマソングとして起用され、80万〜100万枚を売り上げを記録し(当時としては)驚異的なヒットソングとなった。
70年代の若者の姿を瑞々しく描いたこの歌は、どんな経緯で生まれたのだろうか?
そして“青い三角定規”とは、どんなグループだったのだろう?
もともと男性メンバーの二人(岩久茂、髙田真理)は同じグループで活動していた。
一方、ボーカルの“クーコ”こと西口久美子は、歌手を目指してレッスンに励んでいたとう。
彼らとデビュー前から関わっていた担当ディレクターの渥美章は、当時のことをこう振り返る。

「当時、作詞家として活躍されていたいずみたくさんから“なんとか売り出して欲しい”と岩久と髙田をあずけられたんです。正直なところ彼ら二人だと、いまいちパッとしない感じでした。もう一人女の子を入れて3人組にすればいけるかもしれない!と直感で思ったんです。そうこうしているうちに、バレエ団で踊りを踊っていて、歌もそこそこ歌える子がいると紹介を受けたんです。それがクーコでした。そして上手い具合にドラマの主題歌の話が舞い込んできたんです。」

いずみたくといえば、それまでに「見上げてごらん夜の星を」(坂本九)、「世界は二人のために」(佐良直美)、「いい湯だな」(ドリフターズ)、「恋の季節」(ピンキーとキラーズ)、「手のひらを太陽に」(童謡)、「ゲゲゲの鬼太郎」(アニメ主題歌)などなど、ジャンルを超えた名曲を作曲してきたヒットメーカーである。
三人はいずみたくから“青い三角定規”と名付けられ、デビューに向けての厳しいレッスンを乗り越え…大きなチャンスをつかむこととなる。
渥美は彼らの成功について、こんな言葉を残している。

「クーコの底抜けに明るいキャラクターと爽やかな歌声が、ドラマのイメージとピッタリと合致した結果でしょう。いずみ先生が考えた“青い三角定規”というネーミングも、いかにも新鮮でよかったと思います。」

際立った個性や実力が個々になくても、三人が集まることによって大きな結果を残した彼らが活躍した“短い季節”は、あの世界的大ヒットを記録した「Dancing Queen」を歌ったスウェーデンの男女混合グループ・ABBAの黄金期よりも一足早かったという…。

<引用元・参考文献『フォーク名曲事典300曲』/富澤一誠(ヤマハミュージックメディア)>

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