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なかの綾──平成最後の夏に、またしても歌謡曲を更新した〈昭和最後の歌姫〉

2018.07.09

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昭和から平成にかけてヒットした歌謡曲やJ-Popを、ゴージャスなラテン・アレンジを施し、妖艶な歌声でカバーしていく注目のシンガー、なかの綾。2010年のデビュー以来、全国の酒場やクラブを歌いまわりながら、各地に熱狂的な支持を増やしてきた。

2016年4月には、「じゅうくはたち」など秀逸なオリジナル曲を収録した4thアルバム『エメラルド・イン・パラダイス』をリリース。「じゅうくはたち」など秀逸なオリジナル曲が数多く収録された本作で、シンガーとしての表現力を広げた彼女だが、2年ぶりとなるニュー・アルバム『ダブルゲーム』で、さらなる新境地を開いている。

編集者/ライター/ラジオ・パーソナリティとして活躍する渡辺祐を企画監修を手がけた本作。『ダブルゲーム』というタイトル通り、アルバムの前半と後半をアナログレコードのA面・B面に見立て、ガラリとサウンドの印象を変えてきた。

BUTTERFLY SIDEと題した〈A面〉では、女性メンバーのみで編成される人気のビッグバンド〈たをやめオルケスタ〉が演奏を務め、ジャズ/ジャイブを下敷きにした歌謡サウンドを展開。前作に引き続き杉真理が楽曲を提供した「スナック鯉〜エピソード2」や、先行シングルとして発表された「アサミのブルース」といったオリジナル曲をはじめ、「抱いてくれたらいいのに」(工藤静香)、「かもめはかもめ」(研ナオコ)などのカバー曲も、相変わらずのハマりっぷりを見せている。

一方、GLAMOUR SIDEと題した〈B面〉では、ライムスター、堂本剛、AI、MINMI、KREVAなどへの楽曲提供やプロデュース、キーボード奏者としての客演で知られるSWING-Oをプロデューサーに迎え、これまでにあまり見せたことがなかった、なかの綾のルーツのひとつであるリズム&ブルースからの影響を開陳。シングルとしても発表された「ギリギリの関係」をはじめ、「涙の太陽」(エミー・ジャクソン/安西マリア)、筒美京平/安井かずみによる「にがい涙」(スリー・ディグリーズ)などをソウルフルにカバー。ラストにはラッツ&スターの魅惑の低音担当=佐藤善雄をゲストに迎えて、アイク&ティナ・ターナーの「Proud Mary」で盛り上げる。

湿度高めなジャズ歌謡とど迫力のリズム&ブルース歌謡を演じ分けては、堂々と歌謡曲の真髄を歌い上げていく、なかの綾。平成最後の夏に、歌謡曲はまた更新された。

なかの綾『Double Game』

なかの綾
『Double Game』

(VIVID SOUND/HIGH CONTRAST)



official website
http://www.nakanoaya.com/

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