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ワンダフル・トゥナイト~酒に溺れるほどの恋

2025.03.30

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ライラという美女に恋焦がれ、酒に溺れて狂人となっていく青年カイスの物語は、12世紀のペルシャ詩人、ニザーミーの作品だ。

この物語を下敷きに、自らの恋心を歌にしたのが「愛しのレイラ」。1970年にエリック・クラプトンを中心にして結成されたデレク&ザ・ドミノスの大ヒット曲だ。

クラプトンが恋した美女は、親友であるジョージ・ハリスンの妻、パティ・ボイドだった。

「エリックがあの曲を書いた時、ハッピーとはいえなかった。私はまだジョージと婚姻関係にあったし、何か暴露されたように感じたの」


パティはイギリスの新聞、ガーディアン紙でそう語っている。だが1974年、エリックとパティは結婚することになる。

「ある晩、とある方に招待されて外出することになっていたの。エリックはギターを爪弾いていた。私は着替えに2階へ上がっていった。でも、服やヘアなどでとても時間がかかってしまって。きっと彼に怒られる、と思って下へ降りていくと、この曲を聴いてくれよ、とエリックは言ったの」


パティに披露したこの曲「ワンダフル・トゥナイト」は、1977年にアルバム『スローハンド』に収録された。

だが、エリックは狂人となったカイスの運命をなぞるようにして酒に溺れていき、1989年に2人の愛は終わりを迎えることになる。

夜も更け、着ていく服が決まらない彼女
化粧をし、長く伸びた金髪にブラシをあてる
すると彼女は僕に聞く
「私、どう?」
そして僕は言うのだ
「ああ、今夜の君は素晴らしい」

パーティーへ行けば誰もが振り返る
僕と共に歩く美しい女性を見ようと
すると彼女は僕に聞く
「どんなご気分?」
そして僕は言うのだ
「ああ、素晴らしい気分さ」

素晴らしい気分だよ
君の瞳に愛が煌いているのだから

そして思うのさ
これほどの思いを君がわかってくれているのかと

もう帰る時間だ、頭も痛い
僕は彼女に車のキーを渡し、ベッドまで運んでもらう
そして灯を消しながら、僕は言うのだ
「ダーリン。今夜の君は素晴らしかった
オーマイ・ダーリン、今夜の君は素晴らしかったよ」




エリック・クラプトン『スローハンド』
ポリドール

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