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ルー・リードが歌にした“ワイルドサイド”に生きるものたち

2025.10.26

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ルー・リードは、ネルソン・オルグレンの同名小説を下敷きに、アンディ・ウォーホルのスタジオに出入りする同性愛者たちをイメージしながら「ワイルドサイドを歩け(Walk on the Wild Side)」を書き上げた。

ヒッチハイクの途中で眉毛を抜き、すね毛を剃って、「彼は彼女になったのさ」と始まるこの曲は、今でこそ女装は珍しいものではなくなったが、この曲が発表された1972年当時では、なかなかブッ飛んだ内容だった。

歌の最初に登場するホリーとは、ホリー・ウッドローンのことだ。プエルトリコで生まれ、マイアミで少年時代を過ごしていたホリーが、マイアミを後にしたのは15歳の時。彼はアトランタからヒッチハイクをしながら、ニューヨークに辿り着いている。

眉毛を抜いた話は実話である。ホリーはヒッチハイクの途中、15歳で海兵隊の男に童貞を奪われている。「ワイルドサイドを歩かない?」という表現は、同性愛者が客を引く時の誘い文句なのだ。

続いて、ロングアイランドから来て「みんなのダーリン」と歌われるキャンディとは、アンディ・ウォーホルの女神と呼ばれたキャンディ・ダーリンである。ルー・リードは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代に、「キャンディ・セズ」という彼女をイメージした曲を書き上げている。

「客から金を巻き上げる」リトル・ジョーは、ジョー・ダレッサンドロ。ウォーホルの1968年の映画『フレッシュ』で、アンダーグラウンドから絶賛され、セックス革命のシンボルにもなった男である。

「ジェームズ・ディーンになった気でいる」ジャッキー・カーチスもまた、『フレッシュ』に出演していたウォーホル・キッズである。

彼らは、グリニッチ・ヴィレッジにあるクラブ『マクシズ・カンザスシティ』によく出入りしていた。ホリーと出会ったのも、このクラブだ。このハコでは深夜、グレタ・ガルボやマリーネ・デートリッヒの映画を流していた。

「ねぇ、ハニー、ワイルドサイドを歩かない? アンディに会った方がいいわ。きっとスーパースターになれるわよ」

この曲には、デビッド・ボウイとミック・ロンソンが参加している。ボウイはギター演奏の他に、楽曲のプロデュースも手掛けている。


(注)本コラムは2018年10月29日に公開されました。

ルー・リード『トランスフォーマー 』
Sony


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