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いろいろな替え歌にカヴァーされてスタンダードになった「世界の国からこんにちは」

2026.02.28

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「万国博テーマソング 軽快な曲できる」

3年後に大阪で開催される日本万国博覧会を盛り上げるために、一般公募によって作られた歌の完成を報じたのは、1967(昭和42)年1月13日の毎日新聞である。

全国から募集した歌詞は13195点もの数にのぼったが、その中から選ばれたのは大阪府豊中市に住む詩人、島田陽子さんの作品だった。

その歌詞に「上を向いて歩こう」で知られる音楽家の中村八大が作曲したテーマソングは、レコード協会に加盟していた全7社による競作となり、3月1日に一斉発売されることが発表された。

巷ではそれについて、「万国博テーマソング・本命はだれか?」という話題が取り沙汰された。

本命と目されていたのは青春スターの吉永小百合(ビクター)で、歌が発表された会見に出席して歌っていたのだから当然だろう。開催から5000年後に開封されるタイムカプセルにも、吉永小百合のレコードが収められた。

対抗と噂されたのは、若さあふれるポップス歌手の弘田三枝子(コロムビア)と坂本九(東芝)の二人、大穴がベテランの三波春夫(テイチク)という下馬評だった。

そのほかにクラウンはA面が西郷輝彦でB面が倍賞千恵子という2枚看板、キングは地味なボニー・ジャックスだったが、B面に石川進の歌う「オバQ、万博へゆく」を加えていた。ミノルフォンの山本リンダとポリドールの叶修二は新人クラスだった。

当時の音楽業界ではマーケットが限定されていたこともあって、競作がプラスになって売れ行きが伸ぴるなどということは考えにくかったらしい。ところが3月1日に発売されたテーマソングは、覚えやすく好評で売れ行きは上々だった。

なかでも4年前の「東京五輪音頭」における各社競作の際にも断然トップだった三波春夫が、”夢よもう一度”とばかりに必勝を期したことが功を奏した。およそカラーが違うと思われていた中村八大のポップスを歌い切って、最終的には140万枚のミリオンセラーを記録する圧勝となったのだ。

三波春夫 世界の国からこんにちは
ところで応募によって選ばれた詞は、「世界の人がこんにちは」というものだった。しかし中村八大は曲を付けていくなかで、歌詞もタイトルも変えていった。

歌詞は非常にいいと思ったが、字並びはあまり好きじゃなかった。普通は一週間もあれば詞に曲をつけられるが、あれは三カ月以上も苦しんだんです。曲が乗りにくい、というのはですね、日本中で愛されて、外国の方にも歌われたい、まあ欲を出したわけです。そういういろんなことを考えてると、とってもむずかしくなったんです。


中村八大は「こんにちは」という言葉だけを活かして、いったん歌詞を全部はずしてメロディを考えたという。そしてメロディを完成させた後になって、もういちど自分で歌詞をつけ直していったのだ。それによってタイトルもまた、「世界の国からこんにちは」と名付けられたのである。

いちばんたいせつなのは、この“こんにちは”で、この言葉をいちばん日本的にしたくて、“こんにちは”だけをとって、メロディーをはじめたんです。“こんにちは”をいかに楽しく歌おうかということです。



「こんにちは」というひとことの持つ音楽的なリズムとメロディから、「世界の人がこんにちは」ではなく「世界の国からこんにちは」が生まれた。

言葉とメロディーがすっかり人々に馴染んでいたことから、1970年の万博が終わった後になっても歌は生き残り、期間限定のキャンペーン・ソングにとどまらず、スタンダード・ソングになっていったのである。



それにはテレビの人気番組「オレたちひょうきん族」や、映画「クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡」、そしていくつかのCMなどで替え歌が作られたことに負うところが大きい。

そして2015年の大晦日に行われたNHK紅白歌合戦では、3年ぶりにカムバックした小林幸子が歌ったことで話題を呼んだ。

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