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新たなる決意〜ブライアン・ウィルソン/エリック・クラプトンほか

2015.08.05

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「TAP the COLOR」連載第93回

ロック・ミュージシャンに限らず、人は生きていれば必ず転機が訪れる。ある者は変化しようとし、ある者は復活を遂げ、ある者は新しい道を歩む。今回はそんなシーンに相応しい名盤を紹介。

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71nFZNXN5ML._SL1300_ ビーチ・ボーイズ『Pet Sounds』(1966)
それまでのサーフィンや海といった夏のサウンドトラックとしてのビーチ・ボーイズに別れを告げ、来たるべき時代の半歩先を行くサウンドを試みて実現した、ブライアン・ウィルソンの芸術的メランコリーの最高傑作。「聴いた後、あれ!? これがビーチ・ボーイズ? 信じられない」と言わせたかったという。音楽ファンなら一度は聴くべき体験だ。この試みに嫌悪していたメンバーのマイクが「誰がこんなもの聴くんだ? 犬にでも聴かせるのか?」と言ったことが原因でアルバムタイトルに。
(こちらもお読みください)
ラブ&マーシー 終わらないメロディー〜ビーチ・ボーイズとブライアン・ウィルソンの物語


81YER-GeQrL._SL1412_ エリック・クラプトン『461 Ocean Boulevard』(1974)
「彼女が、僕たちの状況を説明する歌詞がたくさん出てくるアルバムを聴けば、愛の叫びに負けて遂にジョージを捨て、自分と一緒になるんだって確信していた」と思ってリリースした『Layla and Other Assorted Love Songs』で愛の告白を失敗したクラプトンは、その後、相次ぐ友の死を横目に、ドラッグやアルコールに深く溺れるようになる。完全に時が止まった状態だった1970年後半~1973年。しかし、仲間たちや周囲の献身的な手助けもあり、ゴスペルから始まる本作で奇跡的に復活した。
(こちらもお読みください)
エリック・クラプトン〜愛の告白の失敗と悲劇に取り憑かれた数年間


Elton John - A Single Man - Front エルトン・ジョン『A Single Man』(1978)
1970年代、作詞家バーニー・トーピンとコンビで音楽活動とスーパースターとしての頂点にいたエルトンは、1976年にリリースした『Blue Moves』で関係を解消。精神的な疲労もあって引退宣言をして休息期間に入る。それから2年後、新たなパートナーと組んでの復帰が本作。派手な衣装やサングラスを脱ぎ去り、ジャケ写のような静かな世界に生きようとする。タイトルがそれを象徴。


Green-Day-Warning-album-cover グリーン・デイ『Warning』(2000)
1994年、ポップパンクの金字塔『Dookie』の世界的な成功。続く『Insomniac』『Nimrod』で人気バンドとしての絶対的な確立。しかし、彼らは来たるべき2000年代を見据え、普遍的なロックバンドに変わろうとしていた。本作はそんな決意が伝わる傑作。アルバムのラストを飾る至極のバラード「Macy’s Day Parade」がとにかく泣ける。そして4年後の次作『American Idiot』で、グリーン・デイは奇跡の第2章に突入していく。


【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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