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プロコル・ハルムの名曲「青い影」にまつわるいくつかの逸話

2023.03.30

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ビートルズが伝説の名盤『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』を発表した1967年、同じイギリスで一曲の名曲が誕生した。
ゆったりとしたスケールの大きなメロディーと、印象的なオルガンのフレーズは、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないだろうか? 
日本では一般的に「青い影」のタイトルで知られているこの「A Whiter Shade of Pale」は、イギリスのロックバンド、プロコル・ハルムのデビュー曲として1967年5月12日にリリースされたのが初出。
発売からわずか2週間で38万枚を売り上げ、イギリスのヒットチャートで6週連続1位を記録したヒットソングである。
この記録は、あのビートルズでさえもなし得なかったという。
瞬く間にフランス、オランダ、スイス、ベルギーをも席巻し、アメリカでは5位、もちろん日本でも大ヒットとなった。
この曲がレコーディングされた当時、すでにマルチトラックが発達し、ステレオ録音も一般的に行われていたが…あえて“モノラル風”の録音・ミックスが施されたという。
生前ジョン・レノンは、この曲をお気に入りの一つとして挙げており「人生でベスト3に入る曲」「今の音楽業界でこの曲以外は聴く価値がない」とまで語っていたという。
また、このメロディーは日本のアーティストにも大きな影響を与えており、松任谷由実はこの曲をきっかけに音楽を自作するようになったという。
山下達郎も当時ラジオでこの曲を聴いて、すぐさまレコードショップへと走り「購入したその日のうちに100回は聴いた」と語っている。


1966年、バンドの中心メンバーでボーカルとピアノを担当するゲイリー・ブルッカーが、キース・リードという詩人と意気投合したことから、プロコル・ハルムは誕生した。
ロックの潮流がサイケデリックからプログレッシブ、アートロックへと流れる中、歌詞も難解で哲学的なものが好まれており、キング・クリムゾンにはピート・シンフィールドという詩人が存在し、クリームの歌詞はピーター・ブラウンという詩人が書いていた。
そんな時代に、ゲイリーとキースはロンドン近郊の田舎町バッキンガムシャーの山中にこもり“クラシックの要素を取り入れた荘厳なロック”をコンセプトに曲作りを行なったという。
そこに、音楽学校でクラシックを学んだマシュー・フィッシャー(オルガン)がアイデアを出し、この「青い影」が生まれたという。
後に、この楽曲のクレジットをめぐって法廷闘争が繰り広げられたことも有名である。
2005年、マシュー・フィッシャーが著作権を巡ってゲイリーとキースを相手に訴訟を起こした。
フィッシャーは「オルガンソロを書いただけでなく、ゲイリーによるオリジナルのコードに重要な改変を加え、2分36秒間に渡ってオルガンで貢献している」と主張し、この曲の作曲者としての印税を要求したのだ。
一方、ブルッカーは「この曲はフィッシャーがプロコル・ハルムに加入する前に作られていて、フィッシャーはアレンジしただけだ」と主張した。
そして2006年12月20日、高等法院はフィッシャーの訴えを原則として認め、40パーセントの著作権を認める判決を言い渡した。
しかし、ブルッカーは判決を不服として控訴した。
2008年4月3日、控訴院は2006年の判決を一部覆し、「青い影」におけるマシューの作曲者としてのクレジットを認めつつも、それに伴う印税は一切フィッシャーには入らないとした。
そして2009年7月30日、貴族院は2008年の控訴審の判決を覆し、フィッシャーの言い分を認める最終判決を下した。
これによって長きに渡る法廷闘争に終止符が打たれ、現在クレジットにはキース・リード、ゲイリー・ブルッカー、マシュー・フィッシャー3名による作詞・作曲と表記されている。




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