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季節(いま)の歌

グレープフルーツ・ムーン〜誰もいなくなった閉店後の仕事場で作曲をしていたトム・ウェイツ

2021.01.21

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グレープフルーツみたいな月と光る星がひとつ
僕を照らしている
あの歌がもう一度聴きたくて
焦がれている僕のことがわかるかい?
あのメロディを聴くたびに
心の中でなにかが壊れてしまうから
グレープフルーツみたいな月と光る星がひとつ
潮の流れを戻すことなんて出来ないのさ


幼い頃に両親の離婚を経験したトム・ウェイツは、12歳から母親と共にサンディエゴで暮していた。
15歳になった頃からピザハウスで深夜の雑役をしていた彼。
その仕事内容は、閉店後から明け方にかけての皿洗いやフロアの掃除だった。
夜に生活する人たちから様々なことを学びながら二十歳を過ぎた彼は、あるナイトクラブのドアマンとして働くようなった。
彼はそこで見聞きする“真夜中の風景”や“不起用な人間の姿”を詩に綴り、閉店後の誰もいなくなった店内でピアノやギターを弾き、曲を書くようになったという。
トム・ウェイツが24歳の時に発表した1stアルバム『Closing Time』(1973年)に収録されたこの「グレープフルーツ・ムーン」は、きっとそんな日々の中で紡がれたのだろう。

乗り越えられない運命なんてなかったのかもしれない
君は僕にインスピレーション(大切なもの)を与えてくれたけど
それはとてつもなく大きな代償だったよ
あのメロディを聴くたびに
心の中でなにかが壊れてしまうから
グレープフルーツみたいな月と光る星がひとつ
もはや隠しきれはしない


トム・ウェイツにまつわる書籍『酔いどれ天使の唄』(大栄出版)、『素面の、酔いどれ天使』(東邦出版)の著者パトリック・ハンフリーズは、この曲が書かれた頃のトムの作曲スタイルについてこんなことを語っている。

『Closing Time』のジャケットは、彼が描いた“音”のイメージに近い。
時計の針は3時22分を指している。
午後ではない、午前だ。
くたびれたシンガーが、バーの傷だらけのピアノの前に座っている。
ライ麦ウイスキーをグラス一杯、ビールを一本、灰皿は吸殻でいっぱいだ。
そしてインスピレーションが湧いてくるのを待ちながら、煙草をギリギリまで吸う。
この(ジャケット)写真は、彼がジェームス・テイラーやキャロル・キング、ニール・ヤングやジョニ・ミッチェルと同じ時代に、新進気鋭のシンガーソングライターだった何よりの証拠だ。




遥か太古から…人類は月を眺めながら想いに耽っていたのだろう。
日本最古の物語といわれている『竹取物語』でも、月は人々の信仰の対象のように描かれている。
トム・ウェイツが下積み時代にサンディエゴで見上げていた月。
私たちが今夜見上げる月。
貧しい国の空に浮かぶ月。
豊かな街を見下ろす月。
職場の窓から見上げる月。
病室の窓から見える月。
独り暮らしのアパートの窓から覗く月。
坂の途中で笑う月。
戦場の月。
恋人達を照らす月。
老人の瞳に映る月。

どんな時代でも、どんな場所にいても、月は黙って我々を見ている。
せめて美しい満月の夜くらいは…心清らかでありたいものだ。


トム・ウェイツ『Closing Time』
ワーナーミュージック・ジャパン




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宜しくお願い致します。




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2月21日(日)札幌 Beggars Harlem 
2月27日(土)新潟 Live Bar Mush
2月28日(日)下北沢 Laguna(限定20名入場可+配信ライブ)
3月12日(金)久留米 農と音
3月13日(土)熊本・八代 7th chord 
3月14日(日)大牟田 陽炎
3月16日(火)行橋 Memphis
3月18日(木)東広島 pasta amare  
3月19日(金)大阪 新世界ヤンチャーズ
3月20日(土)静岡・御前崎 Cook House椿
3月21日(日)名古屋 ROLLINGMAN
4月2日(金)仙台 ホームラン酒場  
4月3日(土)山形 ヱレキ酒場オリハント 
4月4日(日)秋田 カウンターアクション 
4月8日(木)長崎 R-10 
4月10日(土)和歌山 OLD TIME
4月11日(日)所沢 音楽喫茶モジョ 
4月12日(月)横浜 Bar Take’s
4月15日(木)小郡 ジラソーレ〜8周年記念スペシャルライブ〜
4月16日(金)愛媛 スタジオOWL
4月17日(土)徳島 デラシネ
4月18日(日)高知 A’bar
4月21日(水)福岡 Bassic.(限定15名入場可+配信ライブ+TOUR総括スペシャルトーク&スライドショー)


↓チケットご予約&公演詳細はこちら
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12634659162.html





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人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
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佐々木モトアキ
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【佐々木モトアキ プロフィール】
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