季節(いま)の歌

四月になれば彼女は〜ポール・サイモンのセンスが光る2分足らずの秀作〜

2017.05.07

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この「April Come She Will(四月になれば彼女は)」は、サイモン&ガーファンクルの2ndアルバム『Sounds of Silence』(1966年)に収録された楽曲だ。
ダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』(1967年)の挿入歌としても有名なイギリスの伝統的バラード「Scarborough Fair」のB面としてシングルカットされ話題となった。


ポール・サイモンは一人の男性の恋愛体験を、わずか2分足らずのこの作品に凝集した。
歌詞は4月~9月に至るまでの“She=彼女”の心の変わりを歌い、歌い手である男性が9月になってこの恋愛を“過去のもの”として懐かしむといった内容となっている。
誰もが一度は経験する恋愛体験を、4月~9月の6ヶ月(半年)という短いスパンの季節に重ねて歌い上げた作品だ。
独特の描写が秀逸なこの歌詞には、効果的な韻が各月ごとに踏まれている。

「April 」と「will」
「May」と「stay」
「June」と「tune」
「July」と「fly」
「August」と「must」
「September」と「remember」

春、それは長い冬が終り…明るい希望に溢れる季節。
アメリカでは、新学期が9月に始まるので、8月に学生時代の恋が終るというケースが多くあるという。
この歌の背景には、そんな“青春の感傷”が漂っている。
2分足らずのとても短い楽曲の中で、季節の“移り変わり”と女性の“心変わり”が重なってゆく様が何とも切なく…そして美しく描かれている。

4月、彼女が僕の前に現れた
川は満ちて雨で潤う頃
5月、彼女はここで暮らし始める
彼女は再び私の腕の中で安らぐようになる

6月、彼女は変わってしまった
落ち着かず歩き回り、夜には出かけるようになった
7月、彼女は飛び立っていった
僕のもとを不意に去ってしまったんだ

8月、彼女はいなくなってしまった
秋風が冷たく肌をさす
9月、僕は思い出すだろう…
あの頃新鮮に感じていた愛も、やがては古びて消えてしまうもの…



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