通りの暗がりで いつも俺たちは逢う
居てはいけない場所で物影に隠れ
二人の過ちを隠すために暗がりで生きる
俺とおまえ通りの暗がりで…俺とおまえ
この「Dark End of the Street」は、ジェイムス・カーのレパートリーの中でも一番人気の高いソウルクラシックだ。 1967年の発売当時、ビルボードのブラックチャートで10位、ポップチャートでは77位をマークした。
大ヒットとまではならなかったが、現在に至るまでパーシー・スレッジやライ・クーダー、そしてリンダ・ロンシュタットなど多くのミュージシャンたちがカヴァーしてきた名曲である。
クレジットを見ると 、あの伝説のスタジオ“Muscle Shoals Sound Studio”所属のソングライターチームとして知られるダン・ペンとチップス・モーマンが名を連ねている。
ダン・ペンと言えば、白人ながらも幼い頃よりレイ・チャールズやボビー・ブランドを愛した黒人音楽マニアとして知られており、ルーツミュージックに多大な敬意を払ってきたニック・ロウが心からリスペクトする音楽家なのだ。
驚くことに彼は弱冠16歳にしてマッスル・ショールズのスタッフとなり、以降、作曲家兼プロデューサーとしてソウルミュージックのマスターピースを数多く生み出した才人だ。
一方チップス・モーマンも白人で、フィル・スペクターの “Gold Star Studio”でギタリストをやっていた音楽才能豊かな男だ。
実のところこの楽曲は驚くほどの“即席ソング”だという。
一体どんな経緯で生まれたというのだろう?
1966年のある日、ダンとチップの二人はメンフィスで開催された《ディスクジョッキー会議》なるものに参加していた。
ダラダラと長引くその退屈な会議の空気の中、彼らはフロリダのDJドン・シュレーダーなどと一緒にコソコソとトランプ遊びをしながら時間をやり過ごしていたという。
ようやく一段落して会議が休憩に入ったときに、二人は気を紛らわすかのように近くにあった楽器を手にしながら…わずか30分ほどでこの曲を一気に書き上げたという。
歌詞の内容はズバリ不倫。
してはいけない恋をしている男と女がいつも人目を避けて偲び逢う…そのタイトルを直訳すると「通りの外れにある暗がり」となる。
古今東西、様々な音楽家たちが繰り返しテーマにしてきた“許されない恋”を描いた作品の中でもとりわけせつないメロディーとして人々にひっそりと愛され続けてきた名曲である。
時は犠牲を求めるだろう
奪った愛の代償は支払わなきゃならない
これは罪 正しくないことは二人ともわかっている
でも俺たちの愛はどんどん強くなっているんだ
通りの暗がりに逃れて…俺とおまえ
こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
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その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。
佐々木モトアキ
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