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スカート──非凡なポップセンスを存分に開花させた、珠玉の3分間ポップス掌篇集

2016.05.09

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「冬がゆけば」「春になれば」
呪文ふたつ唱えて ひとりになった
月が揺れて 思い出す
あの星の名前も知らずにいたんだ

戻れない はずがない
君がいるはずの景色をみた

(「はじまるならば」より)



2006年。音楽大学に通うかたわら始動させた、澤部渡のソロ・プロジェクト〈スカート〉。ひとりでさまざまな楽器をこなし多重録音で楽曲制作をしてきた彼は、2010年に自身が立ち上げたレーベルからファースト・アルバムを『エス・オー・エス』をリリース。その後も自主レーベルからコンスタントにレコーディング作品を発表しながら、カーネーションのトリビュート・アルバムの発起人となって企画したり、川本真琴やyes, mama ok?のサポートも手がけるなど、多彩な活躍をみせてきた。

ライブ活動もさまざまな形態で展開してきたスカートだが、現在は佐久間裕太(ドラム/ex.昆虫キッズ)、清水瑶志郎(ベース/マンタ・レイ・バレエ)、佐藤優介(キーボード/カメラ=万年筆)、シマダボーイ(パーカッション/NATURE DANGER GANG、フジロッ久(仮))をサポートメンバーとして迎えたバンド・スタイルでのライブが中心。2014年11月には渋谷WWWでのワンマンを成功させるなど、若いリスナーからも高い人気を集めている存在だ。一方で、澤部より年上の世代のミュージシャンからもその才能が高く評価され、スパークスやカーネーション、ムーンライダーズとの共演を果たしたり、先日もスピッツが『ミュージック・ステーション』に出演した際に、口笛とタンバリンで参加しネット上でも大きな話題となっていた。

スカートのフル・アルバムとしては約3年ぶりとなる新作『CALL』は、ceroやキセル、二階堂和美、YOUR SONG IS GOODなどが所属するレーベル〈カクバリズム〉からのリリース。2014年に発表した12インチ「シリウス」から続くカクバリズムとのタッグで、スカートの音楽はさらなる広がりをみせていく。

アルバム冒頭を飾る「ワルツがきこえる」やバラード「想い(はどうだろうか)」などで聴けるストリングスの導入をはじめ、これまでのインディペンデントな制作スタイルでは、どうしてもリミットをかけざるを得ない部分もあったであろうサウンドへのこだわりを追究しながら、彼が持つ非凡なポップセンスを思う存分に爆発させたのが本作といえるだろう。切れ味の鋭いカッティングギターが疾走する「いい夜」、グルーヴィな70年代ソウルの影を色濃く落とした「暗礁」「回想」、エモーショナルなバラード「アンダーカレント」、爽快でいてどこかいびつさを残すポップ・チューン「ストーリーテラーになりたい」、メランコリックなリリックが胸を打つロックンロール「はじまるならば」……と、実にカラフルな12曲が並びながら、多くの曲が3分前後という短さだ。あっという間に駆け抜けていっては、美しいメロディセンスとセンチメンタルなリリシズムで、聴き手の心に鮮烈な印象と、物語の続きを覗きたくなるような余韻を残していく。

その音楽からは、はっぴいえんどやシュガーベイブ、ムーンライダーズ、カーネーション、サニーデイ・サービス、フリッパーズ・ギター、オリジナル・ラブ、キリンジ……連綿と続く日本のポップスの系譜や、その背景にある無数の洋楽ロック/ポップスの影響を感じさせる。澤部渡自身も深いこだわりをもったリスナーであるようなのだが、スカートの音楽は過去の「引用」や「再構築」という呪縛からは逃れ、古い世代の名作も同時代に鳴っている音楽もフラットに愛して吸収した上で、現在の表現として発露させている。そんなみずみずしくフレッシュな風通しの良さも、アルバム『CALL』が今後何年もかけて愛聴する名盤になるだろうと予感させる部分でもあるのだ。


背負いなれた 重い荷物
ほどいて また歩き出した
さみしいけど 好きな歌を
どうやって忘れようかと

(「CALL」より)




スカート『CALL』

スカート
『CALL』

(カクバリズム)


official website
http://kakubarhythm.com/special/skirt_call/
http://skirtskirtskirt.com/


スカート「CALL」 MV
スカート アルバム『CALL』 trailer
スカート「回想」 audio


Live Schedule
スカート『CALL』発売記念ワンマンライブ』

5月27日(金)東京・渋谷WWW
出演:スカート
DJ:臼山田洋オーケストラ

スカート『CALL』発売記念ツアー
6月17日(金)大阪・心斎橋CONPASS (w/柴田聡子)
6月19日(日)愛知・名古屋VIO (w/曽我部恵一)

スカート『CALL』発売記念ミニライブ&サイン会
5月14日(土)東京・タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
5月15日(日)京都・タワーレコード京都店
5月16日(月)大阪・タワーレコード難波店 5Fイベントスペース

詳細はofficial websiteをご確認ください。

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