TAP the ROOTS

「25 or 6 to 4(長い夜)」-その時、ロバート・ラムがいた場所は?

2015.02.26

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♪ 夜明けを待ちながら
  言うべき言葉を探す
  閃光が空に反射するのを見て
  俺は諦め、目を閉じる ♪


シカゴの初期の大ヒット曲であり、つねにコンサートのフィナーレを飾った「長い夜」はそんな歌詞で始まる。そして歌詞はこう続く。

♪ 胡坐を組んで床に座る
  4時まであと25、6分だ ♪


「長い夜」の原題は【25 or 6 to 4】という。
曲が発表された1970年といえば、ドラッグカルチャー全盛である。当然のことながら、このタイトルも様々な憶測を呼んだ。
ドラッグの調合の割合のことだ、と言った者がいる。LSDのスラングだ、と言った者もいる。夕方の6時にLSDを服用すれば、明け方の4時まで10時間、ドラッグの効果が続くというのがその説明だった。
曲を書いたロバート・ラムが一度「クリケットのスコアさ」と冗談めいた発言をしたことはあったが、バンドの他のメンバーも明快な説明をしてはこなかった。

だが、2009年、他のメンバーと一緒にテレビ番組「クリス・アイザック・アワー」に出演したロバート・ラムは、「長い夜」の舞台裏を語っている。

1967年、シカゴにあるデ・ポール大学で知り合った学生たちによって結成されたシカゴは当初、シカゴ・トランジット・オーソリティ(シカゴ交通局)というバンド名だったこともあり、シカゴに根づいたグループだと思われている。
だが、1969年にジェイムズ・ウィリアム・ガルシアのプロデュースでレコードデビューする前後から、彼らは拠点をロサンジェルスに移していた。

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「その当時、僕はヒッピー仲間たちと一緒にサンセット・ストリップに住んでいた」とロバート・ラムは語る。サンセット・ストリップというのは、ウエスト・ハリウッドを東西に走るサンセット・ブールヴァード付近のことだ。巨大なビルボードが立ち並び、老舗クラブやライブハウスも多いエリアである。
「僕らが共同で住んでいた家の利点のひとつは、ハリウッド・ヒルズに建っていたので、夜になると街全体を見渡せることだった」

そしてロバーロ・ラムはサンセット・ストリップの夜景を見下ろしながら、曲を書いていたのだ。
「街中にネオン・サインが煌いていたから、閃光が、という歌詞を書いた。そして僕が時計を見た時、ちょうど4時25、6分前だったというわけさ」

♪ 漫然と虚空を眺め
  顔を洗うために立ち上がる
  もう少しだけ起きていたいのだ
  そうすれば何か言葉がつかめるかも知れない ♪


歌詞を考えながら、結局、そのプロセスそのものが歌詞になった、というわけである。

♪ もう少しだけトライするべきだろうか
  4時まであと25、6分だ ♪


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「長い夜」は今も演奏され、ファンに愛され続けている。そしてバンドは、ギタリスト、テリー・キャスの死なども乗り越えて、コンサート活動を続けている。

何故休養を取らないのか、とクリス・アイザックに聞かれたロバート・ラムは正直にこう答えている。

「ファンに忘れられてしまうことが怖いのさ。本当だよ」


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