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「TAP the COLOR」連載第11回
1967年という時代の空気を覆ったジミ・ヘンドリックスの「Purple Haze」。そして、1984年に突如として降り注いだ紫の雨。赤と青の色の幅からなる紫は、落ち着きと力強さ両方のエネルギーを秘めているという。感性を鋭くしてインスピレーションを高めるこの色の誘いの中で、美学と生き様が刻まれた4枚をセレクト。
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プリンス『Purple Rain』(1984)
パープルと言えば、この男。前作『1999』のアートワークも紫に染まっていたが、この自伝的映画に主演・制作されたサウンドトラックで世界の頂点に(全世界で2000万以上のセールス)。革新的な楽曲が並ぶ中、大バラードのタイトル曲が胸を打つ。その後、いち早くネットに順応したアーティストである点にも注目したい。
アレサ・フランクリン『I Never Loved a Man the Way I Love You』(1967)
アレサの代表作というだけでなくサザンソウルの歴史的名作「Respect」も収録された、アトランティックレーベル移籍第1作。マッスル・ショールズのフェイム・スタジオで録音。この後続く数々のヒット曲で、彼女は女性シンガーの伝説となっていく。ゴスペル感覚たっぷりのソウルバラードにも、その魅力と輝きが眩しい。
ジャニス・ジョプリン『Pearl』(1971)
強烈なブルースフィーリングを持つ歌い方や独特の枯れた声で、ロックの全盛期(1960年代後半)に登場してスターとなったジャニス。1970年に27歳の若さで亡くなるが、本作は彼女の生き様が染み込んだ遺作として余りにも有名。耳を傾けるだけで本物の音楽体験。彼女を超える女性ロックシンガーはその後も現れていない。
エミネム『The Slim Shady LP』(1999)
2000年代以降の最大のスーパースター/カリスマであるエミネムの序章的作品。自伝映画『8マイル』を観れば、彼が置かれたそのどうにもならない状況や環境が伝わってくるが、怒りや不満以上に漂うこの哀しみは一体何なのだろう? 「Rock Bottom」ではまさかのジャニス・ジョプリンをサンプリングした。
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