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「TAP the COLOR」連載第264回〜COLORFUL〜
1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。6月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?
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エルトン・ジョン『Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy』(1975)
ビルボードのアルバムチャートで史上初めて初登場1位(9週1位)を記録した、エルトン全盛期における代表作。ベスト盤含めて当時6作目のナンバーワン・アルバムでもある。相棒である作詞家バーニー・トーピンをカウボーイ、エルトン自らをキャプテンとして、二人の思い出をテーマにしたコンセプト作品。印象的なジャケットワークはアラン・オルドリッジによるもの。2006年には続編『The Captain & the Kid』がリリース。
コールドプレイ『X&Y』(2005)
もはやロックはこのまま衰退の一途を辿り、以前のように若い世代に大きな影響も意味も持たなくなるだろう。そう思い始めていたゼロ年代半ば。コールドプレイの本作(3週連続1位)は届けられた。初めて聴いた時、途中でロックの持つ力に何年ぶりかで心震えた。そう、「Fix You」たった一曲によって。
プリンス&ザ・レヴォリューション『Around the World in a Day』(1985)
前作『Purple Rain』で世界の頂を獲ったプリンス。これほどの大ヒットを放った後は、大抵のアーティストは数年おいて、しかも続編的な作品を出せばそのムードは維持できたはず。しかしワーカホリックのプリンスは違った。「同じようなのは二度と作らない」と言い切り、翌年には新たに設立した自前レーベル「ペイズリー・パーク」から本作(3週連続1位)をリリース。「Raspberry Beret」「Pop Life」がヒットした。
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ビー・ジーズ/サウンドトラック『Saturday Night Fever』(1977)
当時最先端だったディスコサウンドを収録した本盤からは、「Stayin’ Alive」「Night Fever」「How Deep Is Your Love」が立て続けにナンバーワンを獲得。ビルボードのアルバムチャートで24週連続1位という大記録を樹立して、世界で4000万枚以上をセールス。だがエピソードによると、ビー・ジーズの3人は映画のタイトルさえ知らず、作品もまったく見ずにこれらの曲を作ったという。しかも録音した場所はニューヨークではなく、フランスの田舎のスタジオだったそうだ。
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