「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the COLOR

ウッドストック②〜スライ&ザ・ファミリー・ストーン/ジミ・ヘンドリックスほか

2017.08.16

Pocket
LINEで送る

★ダウンロード/ストリーミング時代の色彩別アルバムガイド
「TAP the COLOR」連載第202回〜COLORFUL〜

1969年8月15〜17日の3日間(正確には18日の午前まで)。ニューヨーク郊外のサリバン郡ベセルで大規模な野外コンサート「ウッドストック・ミュージック・アンド・アート・フェスティバル」が開催された。フォーク系からロック系まで30組以上が出演(このコンサートで人気の出たアーティストも)。前売券の約19万枚を遥かに上回る40万人が来場した。


多くの人々がフェンスを破って詰めかけた結果、急遽無料コンサートと化した。交通渋滞や食料不足などの混乱もあったが、最悪な暴動事件は起こらずに音楽に耳を傾ける人々が多かったことから、「愛と平和と音楽の祭典」として語り継がれることになった。

フェス自体は大赤字になるものの、レコード化や映画化でプラス収支に。映画は翌年に公開され、今もあの激動の60年代の象徴であり続ける。リアルタイムで体験した世代はこれから減っていくが、現在の野外フェスに与えた影響は計り知れない。まさにロックが生んだ歴史的なイベント。出演アーティストは以下の通り。

●8月15日
Richie Havens/Swami Satchidananda/Sweetwater/Bert Sommer/Tim Hardin/Ravi Shankar/Melanie/Arlo Guthrie/Joan Baez
●8月16日
Quill/Country Joe McDonald/Santana/John Sebastian/Keef Hartley Band/The Incredible String Band/ Canned Heat/Mountain/Grateful Dead/Creedence Clearwater Revival/Janis Joplin with The Kozmic Blues Band/Sly and the Family Stone/The Who/Jefferson Airplane
●8月17日
Joe Cocker and The Grease Band/Country Joe and the Fish/Ten Years After/The Band/Johnny Winter/Blood, Sweat & Tears/Crosby, Stills, Nash & Young/Paul Butterfield Blues Band/Sha Na Na/Jimi Hendrix


あなたの好きな色は?〜TAP the COLORのバックナンバーはこちらから

ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス『Axis: Bold as Love』(1967)
衝撃のデビュー作『Are You Experienced』から5ヶ月後に届けられたジミのセカンド。ジャケットのデザインが強烈に時代を感じさせる。「Little Wing」や「If 6 Was 9」などを収録。エレクトリック・ギターの革命児による凄まじいニューサウンド探求という体験。ウッドストックでのジミの出番は18日の朝。「ジプシー・サンズ&レインボウズ」を従えて大トリで登場。ロックの伝説の一つ「アメリカ国家」を演奏した。


ビッグ・ブラザー&ホールディング・カンパニー『Cheap Thrills』(1968)
ジャニスがソロになる前のバンドの名作ライヴ。「Summertime」「Piece of My Heart」「Ball and Chain」などを収録。この後、ジャニスはコズミック・ブルース・バンドを結成してウッドストックに出演。『I Got Dem Ol’ Kozmic Blues Again Mama!』をリリースした。
(詳しくはこちら)
ジャニス:リトル・ガール・ブルー〜27歳で逝った女性初のロックスター真実の物語

ザ・バンド『Music from Big Pink』(1968)
激動の60年代後半。革命的なロックが次々と生まれる中、地に足をつけてブルーズやカントリーを肥やしに本物の音楽を演奏したザ・バンド。あまりにも有名な「The Weight」「I Shall Be Released」を収録。当時クリームでスーパースターとなっていたエリック・クラプトンは、ある日このザ・バンドの作品を聴いた。自分の音楽を恥じると同時に、その素晴らしさに心奪われて、思わず身動きできなくなったという。こうして多くのミュージシャンたちの意識はルーツ・ミュージックへ向かって行った。

スライ&ザ・ファミリー・ストーン『Greatest Hits』(1970)
ウッドストックでのステージでの強烈な存在感、そして眩い魅力を放ったスライ。ブラック・ミュージックというだけでなくロックの歴史においても超重要人物だ。バンドがヒッピーたちの“約束の地”であるサンフランシスコから出てきたという点も意味深いが、何よりもファンクの礎を築いた革新者。本作は全盛期にリリースされたベスト盤。「I Want to Take You Higher」「Stand!」「Dance to the Music」「Everyday People」「Hot Fun in the Summertime」「Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)」……今聴いても、すべてが一つの体験となる。

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
https://www.wildflowers.jp/profile/
http://www.tapthepop.net/author/nakano
■仕事の依頼・相談、取材・出演に関するお問い合わせ
https://www.wildflowers.jp/contact/

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the COLOR]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ