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「TAP the COLOR」連載第208回〜GOLD〜
1979年9月19日〜23日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、核兵器のない未来と反原発を訴えた大規模なベネフィット・コンサート「No Nukes」が、MUSE(Musicians United for Safe Energy)の面々によって5夜連続で開催された。ジャクソン・ブラウンやボニー・レイットらが中心となったこの運動は、賛同した多くのアーティストを巻き込んで、ライヴ・アルバムや映画にも派生。その意義は大きかった。コンサートにはCSN、ブルース・スプリングスティーン&ザ・Eストリート・バンド、ドゥービー・ブラザーズ、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、ライ・クーダー、ジェームス・テイラー、カーリー・サイモンらが出演した。
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ライ・クーダー『Music by Ry Cooder』(1995)
ライが手掛けた映画音楽集。『ロング・ライダース』『ストリート・オブ・ファイヤー』『パリ、テキサス』『ブルー・シティ』『クロスロード』『ジョニー・ハンサム』などからのサウンドトラックが集められている。音楽の旅人、さすらいのギタリストであるライがなぜ映画音楽と出逢ったのか。それはこちらのコラムで。
ライ・クーダーという風景〜スライドギターの旅愁
ジャクソン・ブラウン『Running on Empty』(1977)
ツアー中の楽屋やホテルの部屋や移動バスの中で録音された、ロックンロール・バンドの旅路をコンセプトにした作品。ブラウンのキャリア史上最も売れたアルバム(全米700万枚以上)であり、内容的にもタイトル曲を筆頭に珠玉の歌が並ぶ。制作当初に「人々が経験を共有してそこから生まれる音楽を作りたかった」と話している。聴けば聴くほど感動的な作品だ。
ボニー・レイット『Streetlights』(1974)
ボニー・レイットの4枚目。ジョニ・ミッチェルやジェームス・テイラーの曲のほか、ミューズ・コンサートでも演奏したジョン・プラインの「Angel from Montgomery」を収録。ボニーは良質なアルバムを発表し続けながらもセールスに結びつくことはなく、やがて酒や薬物に溺れてしまう。そんな彼女を救ったのはチャリティ活動家としての一面だったのだ。
(詳しくはこちらをお読みください)
ボニー・レイットの決意〜ブルースマンの危機が暗闇に迷った彼女に光を与えた
ブルース・スプリングスティーン『Darkness on the Edge of Town』(1978)
前作『Born to Run』で新たなロックヒーローになったブルースだったが、マネージャーとの裁判沙汰でレコード制作ができない事態に陥ってしまう。本作はそんな時期を乗り越えて生まれた。大名曲「Racing in the Street」を収録。「道路を駆け抜け、限界のない自由な人生を捜し求めていた初期の作品の主人公たちを、現実の社会に対峠させる曲作りを始めた」(音楽評論家/五十嵐正氏)
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