★ダウンロード/ストリーミング時代の色彩別アルバムガイド
「TAP the COLOR」連載第221回〜GRAY〜
1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。11月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?
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フォリナー『4』(1981)
イギリス人とアメリカ人で結成されたスーパーグループであるフォリナーは、1977年のデビューからアルバム/シングル両方でヒットを連発。タイトル通り4枚目の本作はバンド初のナンバーワンになり(8週1位)、シングル「Urgent」「Waiting for a Girl Like You」(10週2位)のヒットも生まれた。初めて聴く人には、1977〜81年までを総括したベスト盤『Records』がオススメ。
イーグルス『Hell Freezes Over』(1994)
このアルバムがリリース(2週1位)された時、後追い世代でイーグルスの魅力に取り憑かれた人も多い。1982年に解散後、ドン・ヘンリーやグレン・フライはMTV時代に乗ってソロ活動を充実させていた。イーグルスの伝説だけが語り継がれる中、12年ぶりに再結成されたのだ。新曲4曲以外はヒット曲のライブ録音だが、それでも「Love Will Keep Us Alive」や「The Girl from Yesterday」は心に染みた。
ビートルズ『Abbey Road』(1969)
レコードジャケットに写った場所が世界の名所になったり、ジャケットそのものがそのままパロディ化されるケースがあるが、ビートルズの本作はその最も有名なケース。今でもロックバーの壁に必ず飾られている作品でもある。ジョンとポールの曲はもちろん、「Something」や「Here Comes the Sun」を書いたジョージ・ハリソンの存在が眩しい。説明不要の名盤。11週1位。
マイケル・ジャクソン『Invincible』(2001)
マイケル最後のスタジオ録音作(1週1位)。前作『HIStory: Past, Present and Future, Book I』(1995)で自身のスーパースター時代のキャリアを総括。ゼロ年代への決意が込められた新作だった。新たなポップスターが続々と台頭する中、チャート的にはマイケルの時代は終わっていたが、“キング・オブ・ポップ”の称号は誰も手にすることはできなかった。
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