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3月のナンバーワンアルバム②〜ジャッキー・グリーソン/エルトン・ジョンほか

2018.03.14

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「TAP the COLOR」連載第244回〜BLACK〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。3月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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ジャッキー・グリーソン『Music, Martinis and Memories』(1954)
1952年に冠番組『The Jackie Gleason Show』をスタートさせ、人気が絶頂期を迎えていたジャッキー・グリーソンは自身の楽団を率いて音楽活動も開始。『Music for Lovers Only』がナンバーワン・ヒット&ロングセラーを記録して、一躍ムード音楽の巨匠の道への扉が開く。全編に渡って心地よく響くエレガントな演奏もたまらないが、特に本作(2週1位)のアルバムジャケットはその世界観を見事に捉えている。ムード音楽の素晴らしさを伝えてくれる傑作。


エルトン・ジョン『Don’t Shoot Me I’m Only the Piano Player』(1973)
初のナンバーワンを記録した前作『Honky Château』に続く本作(2週1位)は、エルトンがただのピアノマンではなく真のスーパースターであることを知らしめた。楽しいロックンロール・ナンバー「Crocodile Rock」や優しいメロディがどこまでも心地よい「Daniel」が大ヒット。フランソワ・トリュフォー監督の『ピアニストを撃て』からインスパイアされたという作品で、映画的な空想を掻き立てるアルバムジャケットも秀逸。歌詞はもちろん相棒バーニー・トーピン。


フィル・コリンズ『No Jacket Required』(1985)
映画のサントラに提供した「Against All Odds (Take A Look at Me Now)」やフィリップ・ベイリーとの共演作「Easy Lover」に続き、フィルが満を持して放ったのが本作(7週1位)。ヒュー・パジャムと組んで当時最先端かつ完璧な音作りを実現。MTVをフル活用したヴィジュアルイメージの訴求。英米だけでなく世界で売れまくってシングルヒットを量産。ジェネシスとの活動も並行して「世界で一番忙しい男」と呼ばれるようになった。間違いなくアルバム単位ではフィルの最高傑作。余談だが、アメリカの作家ブレット・イーストン・エリスの小説『アメリカン・サイコ』にはフィル・コリンズを解説するページが出てくる。


レディ・アンテベラム『Need You Now』(2010)
カントリー・ミュージックの人気グループの一つである男女3人組のセカンド(4週1位)。カントリーチャートでは歴代9番目となる31週1位という大記録。グラミー賞も獲得したタイトル曲をはじめ、ポップやロックファンにも馴染みやすい曲が並ぶ。日本ではカントリーはほとんど人気がないが、近年はテイラー・スウィフトらの活躍もあってちょっと凄いことになっている。
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