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「TAP the COLOR」連載第384回〜SILVER〜
1970年代後半〜80年代前半、イギリスで起こったNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)をきっかけに世界へ広まった「ヘヴィメタル」。その後、70年代から活躍するハードロックバンドに加え、LAメタル、スラッシュ・メタル、ネオ・クラシカル・メタルなど様々なジャンルが確立。MTVや音楽雑誌を通じて数々の人気バンドやギターヒーローが誕生した。90年代のグランジ/オルタナ時代には時代遅れの対象にされるものの、ゼロ年代からは世代交代を経てシーンが再燃・活性化。音楽に限らず、映画やコミックやデザインなどポップカルチャーに与えた影響は計り知れない。アルバムジャケットに刻まれたバンドのロゴデザインにも注目してほしい。
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ジューダス・プリースト『British Steel』(1980)
ヘヴィメタルの象徴的存在であるジューダス・プリースト。ロブ・ハルフォードのステージパフォーマンスやツインリードギターによる硬質なサウンドで、1979年からムーヴメント化したNWOBHMシーンの波に乗って人気が急上昇。その後のLAメタルへの影響力も計り知れない。本作はバンドにとって最初のヒット作で、ブリティッシュ・メタルの名盤として必ず紹介される。「Metal Gods」「Breaking the Law」「Living After Midnight」は本作に収録。アメリカで初のトップ40入り。プラチナディスクに輝いた。
シン・リジィ『Thunder and Lightning』(1983)
ダブリンに銅像まで建ってしまったアイルランドの英雄、「ザ・ロッカー」ことフィル・ライノット率いた伝説のロックバンド、シン・リジィのラストアルバムがこれ。元タイガース・オブ・パンタンのギタリスト、ジョン・サイクスが加入し、NWOBHMを意識したヘヴィメタル・サウンドを展開。新生シン・リジィに期待が高まった矢先、1986年1月にライノットが36歳で死去。
マイケル・シェンカー・グループ『Built to Destroy』(1983)
HR/HMは数々のギターヒーローを生んだが、中でもこのマイケル・シェンカーは日本でも絶大な人気を誇る。ドイツ出身の天才少年はUFOやスコーピオンズで活躍後、1980年に自身の名を掲げたバンド(通称M.S.G.)でデビュー。愛用するギブソンのフライングVはトレードマークとなりアルバムジャケットにも登場。アメリカマーケットを狙った本作(邦題『限りなき戦い』)ではメルセデスめがけて破壊された。
トライアンフ『Allied Forces』(1981)
G&Voのリック・エメットを中心に結成されたスリーピース・バンド。3人組とは思えない力強いサウンドで、本国カナダだけでなくアメリカでも人気が高かった。本作ではこれぞトライアンフといった名曲「Magic Power」がヒット。1983年のUSフェスティヴァルのヘヴィメタル・デーにも出演した。
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