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【インタビュー】LEARNERS──今もっともライブを観るべきロックンロール・バンド、待望の新作

2017.03.26

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DJとしての活動や、自身のソロ・プロジェクトであるCUBISMO GRAFICO、また他のアーティストのプロデュースやサポートワークでも知られる、チャーべこと松田岳二。彼が人気モデルとしても活躍するシンガーの紗羅マリー、目を見張るようなギャロッピング奏法で聴き手を圧倒する女性ギタリストCHIE、そしてドラムの古川太一(KONCOS)、ベースの浜田将充(QUATTRO/Circle Darko/bandit)と結成したバンドが〈LEARNERS(ラーナーズ)〉だ。

ロックンロール、ロカビリー、ドゥー・ワップ、スウィング、スカ、パンクなど、それぞれの時代の若者たちを熱く踊らせてきたダンスナンバーの数々を今の時代に蘇らせるLEARNERSは、青春映画のプロム・パーティのシーンから飛び出してきたような華やかさと、エモーショナルなライブ・パフォーマンスが評判を呼び、その認知度を急激に高めてきた。好評を集めた前作から約1年の短いスパンで制作されたセカンド・アルバム『More Learners』は、バンドの勢いをそのまま封じ込めた充実の仕上がり(チェッカーズ「ムーンライト・レヴュー50’s」のカバーも収録!)。以前本サイトで紹介した時にも大きな反響を集めたLEARNERSから、バンドを束ねるリーダーである松田岳二にじっくり話を訊いた。


──LEARNERSは、もともとはチャーべさんと紗羅マリーさんの2人からはじまったそうですね。

「僕がやってるCUBISMO GRAFICO FIVEというバンドがあまり動いてなくて、他のバンドやアーティストのサポートはたくさんやってたけど、自分の表現みたいなものをDJ以外にはさほど行なってなかった時期に、じゃあセミアコで弾き語りをしてみたらどうかなって思ってはじめたのが〈LEARNER〉っていうイベントだったんです。ちょうどその頃、紗羅ちゃんも仕事がオフの時期だったので、一緒にやらないって誘って。20~30人ぐらいのお客さんの前で歌いはじめたのが最初です」

──紗羅マリーさんはモデルの仕事と並行して、シンガーとしても活動されてきました。

「紗羅は、以前から浅草ジンタの和尚さんと一緒に〈Mary & The Flying Bowties〉というバンドをやってて。僕もそれを見てすごくいいスウィング・バンドだなって思ってたんです。で、ある時ブラック・リップス(註:アトランタを拠点に活動する、インディーのガレージ・サイケ・バンド)が来日することになって、LEARNERSに出演依頼が来たんだけど、そのライブはフルバンドでやったらどうかと提案されて。そこからメンバー集めがはじまった……ドラムの(古川)太一は、何も言わずとも僕がやりたいことを大体わかってくれる存在で。このバンドでは、アメリカのガレージ・バンドがやるオールディーズ感みたいな、若い子にも好きになってもらえるようなものにしたかったから、ベースも最初からハマ(浜田将充)がいいなって思ってた」

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──そして、最後にギターのCHIEさんが加わったと。

「なかなかギターが見つからなかった時に、The Hi-Hopes(註:南米音楽をベースにロカビリーなどをミックスさせたサウンド聞かせるロック・バンド)のKUBOさんに紹介してもらったのが、CHIEちゃんでした。彼女が紗羅と並んだら、二枚看板が揃った最強バンドになるぞと思って。これでバンドやらないとバチが当たるぐらいの衝撃だった。実際にみんなで音を出してみて、ハマと太一も『なんだこれ!?』って、同じように感じてたみたいだったので、これはバンドとして本格的にやってみようと思ったんです」

──そこからバンドが始動すると、『LEARNERSのライブはすごい!』と評判が一気に駆け巡りました。2015年12月にファースト・アルバム『Learners』が発売されると、さらに拍車がかかったように大きな注目を集めていきます。実際に多くの人に伝わっているなという手応えはありましたか?

「ありましたね。LEARNERSをやる上で常に意識してるのは、プロムのパーティ・バンドみたいな感覚なんですけど、それこそ18歳ぐらいの女の子から、LONDON NITE周辺のお客さんだったり、いろんな世代の人が好きだって言ってくれるのが嬉しくて。何年かに一度こういうバンドが注目を集めることがあったけど、この20年ぐらいなかったのかもしれないですね。『こういうバンドが欲しかった!』って反響をもらえたのはよかったですね」


──紗羅マリーさんとCHIEさん、フロントに立つ女性陣2人の魅力は?

「2人ともタレント性がすごくあるんですよね。紗羅ちゃんはもともとそういう仕事だから、ステージに立てばバキッと演じられるし、それを楽しんでやってる。CHIEちゃんはステージに立ってる時と普段のギャップがすごくあるんですよ。しかも簡単そうな雰囲気でニコニコしながら楽しそうに弾いてるけど、演奏としてはものすごいことやってる。だからCHIEのギターって、もう1人ボーカルがいるようなものなんですよ。フロントとしての存在感があって、ツインボーカルみたいな感覚。2人とも技術の高さと外に向けて発するバイブスを兼ね備えてるから、そこに男3人のバンドの手練れが全員引っ張られてるようなところもある。それに、ライブをいろんな人が観に来てくれて口々に言うのは、紗羅やCHIEちゃんがすごいのはもちろんなんだけど『なんだあのリズム隊は!?』って衝撃受けるみたいで。すごく正統派のフロント2人と、なんだかおかしいぞっていうリズム隊がいて、ただのロックンロール・バンドにならない異物感が面白い」

──紗羅さんのボーカルもまったく雰囲気だけじゃなくて、ロカビリーみたいな前のめりなビートも、器用に乗りこなすかのような素晴らしいリズム感を持ってる。

「たとえば吾妻光良さんだったりニカさん(二階堂和美)だったり、シャッフルしたものに日本語をカッコよく乗せていく人がいるじゃないですか。紗羅ちゃんも、そこに負けてないなって思うんですよね」

──だから「モデルさんがやってるバンドでしょ?」みたいな色眼鏡で見ると、ノックダウンさせられるぐらいの衝撃を喰らうんですよね。

「最初はLEARNERSって、ずっとそういう風に思われてたと思うんですよ。だけどライブ見た人から、どんどんひっくり返っていく。それは紗羅と僕の中で、ちょっと気持ちいいリベンジみたいなところもあって。ほらね? この人たち、すごいんだって! もっと聴いてみて! ライブ観てみて!って感じです(笑)」

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──セカンド・アルバムを作る上で、前作と比べて変化した部分はありますか?

「今回は、僕のプロデュース作品ではないんです。ファーストは自分の名義だったけど、今回はバンドとしてのプロデュース作品。各パートが自分の持ち場を責任持って考えてきてやるっていう感じになってきた。最初の方向性は僕が考えます。なんとなくこのリズムでやってみたら面白いとか、テンポと尺と構成だけ決めるけど、そこからの解釈だったり演奏そのものについては3人に任せて。サウンドの音色についても、個人個人の好きなイメージで。そうすると自分の思ってた以上の返しがきて、どんどん曲が化けていくんですよね。曲のテンポとキー、そしてリズムの種類の3つさえ決まってれば、あとはどう好きにやっても、どんな曲でもLEARNERSになるのがわかったというか」

──今回は曲によってホーン・セクションが加わったり、キーボードにTUCKERが参加したりとサウンド面での広がりを感じますが、楽曲的には前作の延長線上にあるといえる、カバー曲を主体とした内容になっていますね。

「作り終わってから気づいたことなんですけど、たとえば2曲目に収録した『Why Do Fools Fallin Love』や、TUCKERが参加してくれた『I Want Candy』をはじめ、今回収録した曲のうち7曲は、全部80年代に一度カバーされたものなんですよ。80年代初頭から85年ぐらいまでの間って、ロンドンも東京も50’sがファッションも含めてブームだったと思うんですよね。中学生の僕にとって、それがすごく魅力的だった。そこから個人的には、パンクだったりブルーハーツだったりに出会って、どんどん時代が変わっていくんですけど。80年代前半のあのウキウキした感覚とか、世界が明るかった時代の感覚を、今やってみたかったって感じなんですよね」


──50年代から60年代に生まれた音楽が、20年周期ぐらいでその時々の解釈で昇華され、次の時代に受け継がれていくような。

「僕はきっと、そういうものが好きなんですよね。たとえばスペシャルズでもクラッシュでも『あ、この曲カバーするんだ?」みたいな感覚あるじゃないですか? スカとかパンクって、とくにカバーが育んだ文化も大きいし、そういうカバー曲を聴いて原曲にたどり着く人が何人か出てきたら面白いなって思うから。それはDJやってても感じることだし、やりたかったことのひとつでもありました。あとロックンロールのマナーって、基本的に決まってるじゃないですか。何かにすごく似た新曲書くんだったら、オリジナル書かないでカバーばっかりやってもいいかなって。もちろんオリジナルだけのアルバムもやりたいけど、それは次のチャレンジとして置いておこうかな」

──今はこの最高なバンドの音で、ただただ好きな曲をやりたいっていう、ものすごくストレートな発露の仕方ですよね。

「同じような感覚を持った人たちは、きっと世界にもいると思うんです。キティ・デイジー&ルイスやエイミー・ワインハウスのように、アメリカのルーツ音楽からの影響をロンドン経由で昇華したような音楽が好きなんだけど、LEARNERSはそういう音楽に対する東京からの返答みたいなバンドでありたい。しかも、最強の布陣で出来るって思ってる。いつかは〈Gaz’ Rockin’ Blues〉に出てみたいですよね(笑)。でもLEARNERSに関しては、本当に僕がラッキーだったんだと思う。このメンバーがよく集まったなって思いますもん。紗羅ちゃんとLEARNERSをはじめた時、この人はスペシャルズをバックに歌ったエイミー・ワインハウスみたいだなって思ったんです。トッポいし、歌もかっこいい。これは何かがはじまったかもしれないって思った時に、CHIEちゃんが入って確信に変わった。僕はもうすぐ47歳であと3年で50歳になるんですけど、LEARNERSは自分の音楽人生のおまけみたいに考えてるところがありますね。音楽を長くやってきたことへのご褒美みたいな感じ。だから、これ以上あんまり贅沢は言わない(笑)。自分が本気で一番やりたいってことっていうのは、何かしらの苦労が絶対に伴うと思うんですよ。なんでもそうだと思うけど、LEARNERSに関しては、僕以外の4人はとにかくいつも絶対に屈託なく音楽を楽しめる環境にしておきたいと思って。スケジュールで忙しい時はしんどさもあると思うけど、ピュアに楽しむ場所っていうのを、僕がとにかく整備して作るっていうのが、このバンドにおける僕の仕事です。それは見てる人にも伝わってると思うんですけどね」

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LEARNERS『More Learners』

LEARNERS
『More Learners』

(KiliKiliVilla)


official SNS
https://learnersband.tumblr.com/
https://twitter.com/learnersband


ABSOLUTE LEARNERS #16 ~ONE MAN SHOW~
2017年4月25日(火)東京・新代田FEVER (ワンマン・ライブ)

詳細は新代田FEVER HPを参照ください。

*4月25日のライブ以降はしばらくメンバー個々の活動に集中するため、LEARNERSのライブは夏の終わり頃まで行わない予定だそう

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*2017年3月26日に初回公開された記事に、4月1日新たに情報を追加しました。

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