1964年の元日、のちの音楽シーンに多大な影響を及ぼすことになるテレビ番組が英BBCでスタートした。
その名も「トップ・オブ・ザ・ポップス」。独自の音楽チャートを作成し、その中から注目のミュージシャンを紹介するこの番組は、当時人気だった若者向けのラジオ番組から着想を得て企画された。
栄えある第1回のトップバッターを飾ったのは、ローリング・ストーンズだった。今でこそロック史の頂点に君臨するバンドのひとつといっても過言ではないストーンズだが、この頃は結成してまだ2年目であり、若い女性やロックファンからの人気はあっても、世間的な認知はまだまだだった。
番組で披露したのは、ビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニーの2人から提供され、前年の秋に2ndシングルとしてリリースされた「彼氏になりたい(I Wanna be Your Man) 」だ。
ストーンズの他には、チャート首位を独走していたビートルズの「抱きしめたい」を引きずり下ろし、ビートルズのライバルとして注目を集めていたデイヴ・クラーク・ファイヴやホリーズ、デビュー・シングルの「二人だけのデート」が大ヒットしていた新人女性シンガーのダスティ・スプリングフィールドなどが出演している。
「トップ・オブ・ザ・ポップス」という番組名から連想されるのは、人気のポップスを紹介するという典型的な音楽番組だろう。しかし実際には、これから人気になろうという若手ミュージシャンを積極的に取り上げていたことが分かる。
1966年の12月には、デビューして間もないジミ・ヘンドリックスをいち早く取り上げ、その名をイギリス中に知らしめた。当時15歳だったスティングは番組を見て度肝を抜かれ、その衝撃の大きさについて自伝で「ジミ・ヘンドリックスはすべてを変えた」と語っている。
「ヘイ・ジョー」で全英に名を轟かせたジミ・ヘンドリックスの初テレビ出演
1972年にはTレックスが出演し、地域的なムーブメントだったグラム・ロックを全英に広めた。
グラム・ロックの誕生~全英に衝撃を与えたT・レックスのテレビ出演
1980年代には、ブレイク前だったザ・スミスやワムといったアーティストを取り上げている。「トップ・オブ・ザ・ポップス」への出演を機に彼らは一躍人気アーティストとなり、80年代を牽引する存在へとなっていったのである。
メイク担当も驚くほど地味な格好でテレビに出演し、若者たちの心を掴んだザ・スミス
鳴かず飛ばずだったワム!に舞い込んだ千載一遇のチャンス
「トップ・オブ・ザ・ポップス」が新人のミュージシャンを積極的に取り上げてきたのは、常に新しい音楽を発信していきたいという思いからだった。
そうした番組の姿勢が若者たちの心を掴み続け、2006年の番組終了まで42年間に渡って放送される長寿番組となったのである。
その長い歴史の中で、「トップ・オブ・ザ・ポップス」への出演をきっかけにしてブレイクしたミュージシャンは数知れず、その影響力は音楽メディア以上だったともいわれている。
「トップ・オブ・ザ・ポップス」が始まった日は、単に元日というだけでなく、音楽シーンが新たな時代を迎えた日でもあったのだ。
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