さあ!コートを掴んで
帽子をかぶって外に出よう
悩み事なんか戸口の階段にうっちゃっておけ
足を通りの陽のあたる側に向けさえすればいいんだ
一文無しでも気持ちはロックフェラーだ
足下に落ちた塵だっていつか金(ゴールド)に変わるさ
陽のあたる通りを歩いていれば
1930年に作られたこの「On the Sunny Side of the Street」は、数あるアメリカのジャズ・ポピュラーソングの中でも、日本で最もよく知られた歌の一つと言えるだろう。
クレジットを見ると作曲はジミー・マクヒュー、作詞はドロシー・フィールズと記されている。
ジミー・マクヒューは、ピアニストとして音楽活動をスタートした後に作曲家に転身。
彼は女流作詞家ドロシー・フィールズと組んで、数々のミュージカルや映画音楽を残した人物である。
曲の初出は『リュー・レスリーのInternational Review』という舞台演劇だった。
その頃と言えば、1929年のウォール街株価大暴落から始まった世界的な経済大恐慌によって多くの人達が貧困にあえいでいた時代。
活気を失った人々の心に勇気と希望を与えヒットしたと言われている。
以降、ジャンルを問わず国内外の多くの歌手やバンドが演奏してきた名曲である。
ルイ・アームストロング、ベニー・グッドマン、カウント・ベイシー、ビリー・ホリデイ、フランク・シナトラ、ジュディ・ガーランド、ドリス・デイ、エラ・フィッツジェラルドなど名立たるアーティスト達がレパートリーにしてきた。
日本では「明るい表通りで」「陽のあたる道で」と訳されることの多いこの歌は、どこか戦後の日本で流行した「りんごの唄」にも通じるところがあるのかもしれない。
■リンゴの唄〜敗戦直後の日本人の心に“希望のそよ風”を運んだ奇蹟の歌〜
http://www.tapthepop.net/imanouta/39892
また、日本語詞ではあの名曲「プカプカ」で有名な西岡恭蔵のベストパートナーとしても知られる、46歳で亡くなった(原詞と同じく女流作詞家の)KUROのバージョンが秀逸だ。
<引用元・参考文献『いつか聴いた歌』/和田誠(愛育社)>
【佐々木モトアキ プロフィール】
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【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
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