サックス奏者であり、ジャズシンガーakikoなどを手がける音楽プロデューサーとしても手腕を発揮、さらには〈Okawa78〉名義で世界でも類を見ないSPレコードに特化したDJとして1920~50年代に生まれた世界じゅうのルーツミュージックをプレイし続けているOkawa。彼が立ち上げたのが〈Okawa & The Rulers〉だ。
2012年ごろから活動を開始したこのバンドは、流動的にメンバーが出入りしながら断続的にライブを展開。スカ・シーンを中心に高い評価を集めてきた彼らが、初のレコーディング・アルバム『お城の中で』を完成させた。ジャーゲジョージ(ラバダブマーケット)、WATARU BUSTER(オイスカルメイツ)らのボーカル陣を筆頭に、ホーンセクションには黄啓傑(ブルームーンカルテット)、KUNI(スライマングース)、HIROSHI BROWN(オイスカルメイツ)、ドラムに緑川直人(ソイルアンドピンプセッションズ)、オルガンに松田浩二(スライマングース)、ピアノに小林創、そしてなんとギターには塚本功(ネタンダーズ、スライマングース)、富永寛之(ブルームーンカルテット)、大角竜央の3名を擁するなど、レコーディング参加メンバーは総勢20名に及ぶ。
アフロ・キューバンのパーカッション奏者=ロマン・ディアスをフィーチャーしたオリジナルのインスト曲「Roman」で不穏な空気を漂わせながら幕を開けるこのアルバムは、50年代のギャング映画のワンシーンを連想させるラテン・ナンバー「お城の中で」、クンビアとマカロニウエスタンと掛け合わせたような「Todo Pasa」、ダンスホール・レゲエの定番リディム〈スレンテン〉を生音サウンドで幻惑的に変化させた「Rulers Style」、疾走するパーカッション群と複数のギターのカッティングが絡み合う最高なスカ・チューン「Rumpelstillskin」と、アフロ・ファンクとスカが融合した「Black Dragon」と、キューバ~ブラジル~ペルー~ジャマイカとカリブ~南米のルーツ・ミュージックを咀嚼して、ルーディーなサウンドへと昇華させていく。
Okawa & The Rulersが誘う音楽の旅は、さらにニューオーリンズ・クラシック「Big Chief」「Stack-A-Lee」にOkawaが酔いどれな日本語詞を乗せた「いつものままで」「ある晴れた日」、ジプシー・スウィングの「黒い瞳」と、さまざまな地域の匂いを取り入れながら見たことのない景色を描いていく。
アルバムは高速ビギン「JET」と狂ったプレイの応酬がしびれるキラー・スカ「Smiling」でクライマックスを迎え、最後は美しいロックステディ「Playa Bandera」でエンディングで幕を閉じる──首謀者であるOkawaの揺るぎない美意識とサウンドへの底知れぬこだわりが徹頭徹尾貫かれたOkawa & The Rulersのファースト・アルバムには、男のロマンとメランコリーがむせかえるほどに充満している。
Okawa & The Rulers official website
http://www.downbeatruler.com/
Okawa & The Rulersにボーカルとして参加している、ジャーゲジョージ。異型ラガマフィン・グループ=ラバダブマーケットのメンバーとしても活躍する彼は、目を見張るほどに高速かつパンキッシュなラガマフィンを武器に、レゲエ・シーンにとどまらず数多くのアーティストの作品に客演。国内はもとより海外での評価も高いDeeJay(MC)だ。そんなジャーゲジョージにとって初のソロ・アルバム『The Ja-ge George』が完成。これまでシングルで発表してきた楽曲をメインに、新曲「Bassie Spiral」や、フジロックにも出演し日本でのファンも多いコロンビアのミクスチャー・バンド=チェ・スダカとのコラボ曲、さらにはリミックスやOkawa & The Rulersが演奏を手がけるヴァージョンなど14曲を収録。ダンスホール・レゲエやダブはもちろん、ジャングル/ドラムンベース、グライム、クンビアなどあらゆるダンス・ミュージックを呑み込んだ、フューチャリスティックなダンスホール・レゲエを呈示していく傑作となっている。
Ja-ge George official Facebook Page
https://www.facebook.com/PART2STYLE/
Down Beat Ruler 2016
2016年12月17日(土)東京・渋谷クラブクアトロ
LIVE:Okawa & The Rulers
Rojo Regalo / The 69 yobsters
DJ:JUKE SALON
詳細はofficial websiteを参照ください。