初期ビートルズの荒々しいロックサウンドへの回帰を試みた1969年の「レット・イット・ビー」のセッションが成功とは程遠い結果に終わっただけでなく、メンバー間の関係を悪化させてしまった現実を前に、ポール・マッカートニーは最後の賭けに出る。
もう1度、ビートルズらしい傑作アルバムを創ろうというわけだ。そして録音されたのが「アビイ・ロード」だ。
このアルバムの中でも特に有名なメドレーはほとんどポールひとりが書いたものだが、ポールはそのメドレーの最後に、ビートルズの墓碑銘のような文句を用意した。
それが今回の「ジ・エンド」である。
メドレーの最後は、リンゴ・スターのドラムソロで始まる。
これまでのレコーディングでドラムソロをけっして取らなかったリンゴを説得したのはポールだった。
ドラムソロに続くのが、ジョン、ポール、ジョージのギターソロの競演だ(基本的にベーシストでありながら、自分でもギターソロを弾いてしまうところが、ポールらしいのだが)。
そして、ポールが用意した「最後の言葉」が歌われる。
シェイクスピアを意識して、書いた詩だ。
そして最後、汝の受ける愛は
汝の与えし愛と等分となる。。。
この対句は、ビートルズが残した詩の中でも、英米では最も有名なフレーズのひとつとなったのである。