「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the ROOTS

ボン・イヴェールが映画俳優のヒース・レジャーに捧げた歌

2018.06.21

Pocket
LINEで送る

 2011年6月21日。
 この日リリースされたボン・イヴェールのセカンド・アルバム『ボン・イヴェール』は全米チャート初登場2位という快挙を遂げ、バンドはその年のグラミー賞の多くの部門でノミネートされることとなった。

 ウィスコンシン州出身のこのバンドが作る曲のタイトルは、地名からとられることが多い。『ボン・イヴェール』の1曲目に収録されている「パース」はオーストラリアの都市である。
 オーストラリア・ツアーで何か、インスパイアされるものがあったのだろうか?
 だが、その歌詞には、オーストラリアの都市とは関係がないような単語が並んでいる。
 バンドのフロントマン、ジャスティン・バーノンは「場所」には、多くの意味がある、と語っている。
「たとえば」と、彼は言う。

「‘Where you at?’というのは、文字通り、椅子に座っているという答えを求めての問いじゃない。それは‘How are you doing?’と同じような意味で使っているんだ」

『ボン・イヴェール』のプロモーション・ビデオは、ジャスティンの実家で撮影された。監督は、ドキュメンタリー映像作家のマット・アマトだった。
 そして、事件が起こった。
 知人からの電話を受けたマット・アマトが突然、泣き崩れた。

「友達が。。。死んだ」

 マット・アマトは、ヒース・レジャーの死を知ったのである。
 ヒース・レジャーは、バットマンを原作とした映画『ダークナイト』に出演中、不慮の死を遂げていた。処方された薬の飲み過ぎではないか、と言われているが、その知らせを聞いた時、マット・アマトはただ、友人の死という現実に向き合えず、泣き続けた。ジャスティンがいたわるように彼を抱いても、彼の腕の中で泣き続けたという。
「パース」は、そんな出来事が反映されている歌だった。

 ボン・イヴェールの映像を完成させた後、マット・アマトは「アイ・アム・ヒース・レジャー」という友人の生涯を描いたドキュメンタリー作品を完成させている。





Bon Iver『Bon Iver』
Hostess Entertainment

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the ROOTS]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ