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プロフェッサー・ロングヘアを偲んで〜“ロックンロール界のバッハ”と呼ばれた男の足跡と功績〜

2017.01.30

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“ロックンロール界のバッハ”と呼ばれた男、プロフェッサー・ロングヘア。
1980年、彼は61歳になった年にニューオーリンズの黒人街の借家で心臓発作を起こしてこの世を去った。
没後、1992年にロックの殿堂入りを果たした伝説のミュージシャンだ。
ニューオーリンズを代表するブルースピアニストだった彼は、本名をヘンリー・ローランド・バードといい「フェス」の愛称でも知られていた。
ルンバ、マンボ、カリプソを織り交ぜた独特のピアノスタイルと感情表現に富んだ個性的なヴォーカルで独自の世界を作り上げた、まさに“個性派”だった。
その音楽はファッツ・ドミノ、ドクター・ジョン、アラン・トゥーサンなど、様々な世代のミュージシャンに影響を与えたと言われている。
彼は一体どんな人生を歩んだのだろう?


──1918年、彼はルイジアナ州のボガルサという町で生まれる。
両親はともにミュージシャンで、祖父はアラバマ州の農家で奴隷として働いていたという。
彼がまだ幼い頃に家族はニューオーリンズへと引っ越し、南部で最もにぎやかな街で彼はストリートダンサーとして小銭を稼ぎ始める。
やがて彼はストリートのブルースマンたちを師匠としてギターやピアノを弾き始める。当時は、民間植林治水隊(CCC)の隊員達を相手に演奏をしていたという。
彼はそこでピアニストとして、ジャンプブルース、ブギウギ、ジャズ、カリプソ、ルンバ、サンバなど、ニューオーリンズならではの雑多なリズムを吸収しながらミュージシャンとして成長してゆく。
だが、音楽だけで生計を立てるのは難しく…彼はボクサー、コック、カード師などをしながら金を稼いでいたという。
それは1940年代の末の出来事だった。
あるクラブでデイヴ・バーソロミューのバンドが休憩を取っている間に彼が場繫ぎでピアノを弾いたところ、観客から大きな喝采を浴びる。
後にファッツ・ドミノのバンドリーダーとして知られるようになるバーソロミューだったが…その出来事をきっけにバンドをクビになってしまう。
以降、彼を含めこの時のバンドのメンバーが全員長髪だったため「プロフェッサー・ロングヘアとフォーヘアーズ」と呼ばれるようになった。これが彼の芸名の由来である。
1949年、彼は初めてレコーディングを行うチャンスを掴みプロフェッサー・ロングヘア&ザ・シャッフリング・ハンガリアンズの名義でレコードデビューを果たす。
その時に録音した「Mardi Gras In New Orleans」は、今日でもニューオーリンズ・マルディグラ(リオのカーニバルなどと並ぶ世界で最も有名なカーニバル)のテーマ曲として愛され続けており、彼の代名詞的な楽曲となった。


1950年代になると、彼はアトランティック、フェデラル、ロンなど、複数のレーベルから音源を発表する。R&Bチャートに登場する全国的なヒット曲は「Bald Head」のみだったが、他にもいくつかの小ヒットを飛ばしていった。


彼は当時、様々な名前で活動していた。
「ロイ・バード&ヒズ・ブルース・スカラーズ」
「ロイ“ボールド・ヘッド”バード」
「ローランド・バード」
「プロフェッサー・ロングヘア&ヒズ・ブルース・スカラーズ」
「プロフェッサー・ロングヘア&ザ・クリッパーズ」
などなど…このように多くの名前を使ったのは、レコード契約上の問題を避けるためであった。
1960年以降、彼の存在は次第に忘れられゆき…とうとう音楽での仕事をなくす状況になる。
1964年にリリースした「Big Chief」が唯一のヒットとなった以外は目立った活動はない。
半ば引退状態で再びカード師として小銭を稼ぐ生活に戻り、レコード店のゴミ清掃員までやるようになっていた。
しかし、ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバルの企画に携わっていたアリソン・マイナー、クイント・デイヴィスらが、1971年のフェスティバルに彼を出演させたことをきっかけに、再び音楽活動を活発化させてゆく。
以降、彼はいくつかの作品を残しながら、ドキュメンタリー映画『Piano Players Rarely Ever Play Together』(1982年)にもアラン・トゥーサン、タッツ・ワシントンと共に出演している。


1973年にはモントルー・ジャズ・フェスティバルでヘッドライナーを務めたり、1975年にはポール・マッカートニーが彼をクイーン・メアリー号船上のプライベート・パーティーに出演させてたことが話題となった。
1980年にはドクター・ジョンも参加したアルバム『Crawfish Fiesta』をリリースしたが…これが遺作となった。

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