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「TAP the COLOR」連載第87回
エミネムの衝撃やラップメタルの隆盛、レディオヘッドの実験作などから始まった2000年代ロック。ストロークス、ホワイト・ストライプス、アークティック・モンキーズ、エイミー・ワインハウス、レディー・ガガ……いろいろあった10年間。今後は少しずつ取り上げていきます。
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マイ・ケミカル・ロマンス『The Black Parade』(2006)
リリース当時、デヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』やクイーンの『オペラ座の夜』にも匹敵すると言われた名作名曲の誕生に歓喜した。9.11の同時多発テロをきっかけに今すぐ何か行動を起こさなくてはという衝動にかられ、バンドは結成されたという情熱のスタート。グリーン・デイの『アメリカン・イディオット』のツアーサポートなどを経て発表された勝負の本作。「子供の時、父さんは僕を街に連れてってマーチングバンドを見せてくれた。そして言ったんだ。息子よ、大きくなったら、傷つき苦しむ人々の役に立てるか?」と始まる「Welcome to the Black Parade」は、2000年代ロックのアンセムとなった。
リンキン・パーク『Hybrid Theory』(2000)
デビュー前に42社ものレーベルから断られた、というのは今では悪い冗談話になっているが、いざリリースされると本作はアメリカだけで1000万枚以上、世界で2400万枚以上をセールス。記録的なデビュー作となった。コーンやリンプ・ビズキットなどに代表される、いわゆるラップ・メタル/ニュー・メタル/ラウド・ロックと呼ばれるジャンルに縛られがちだが、彼らが他と絶対的に違ったのはそのポジティヴな救済感覚にあった。アメリカを代表する重要なミクスチャーバンド。
コールドプレイ『A Rush of Blood to the Head』(2002)
アメリカにリンキンがいるなら、イギリスには彼らがいる。コールドプレイの大ブレイクとなったセカンド作は、アメリカの「動」に対するイギリスの「静」なる美学と風景だった。U2やレディオヘッドにも通じる壮大な世界観と哀しみのメロディ。政治や社会に対するタフなメッセンジャーとしてのあり方。彼らが世界的なバンドになるのは時間の問題だった。次作『X&Y』のムードもたまらない。
オアシス『Heathen Chemistry』(2002)
90年代からのキャリア組からも一作。オアシスの2000年代でのベストにこれを挙げる人は多い。前作に2〜3枚目のクオリティを期待していたファンは失望したが、本作では楽曲のレベルが全体的に戻り(いや新しく魅力的になり)、他のメンバーも曲を書く中、やはりノエル・ギャラガー(兄貴)による二つの名曲「Stop Crying Your Heart Out」と「Little by Little」の存在が素晴らしい。オアシスは本当にまともなロックバンドだった。
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