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妖艶ロックムービー〜パープル・レイン/ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチほか

2016.03.30

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「TAP the COLOR」連載第127回

数あるロック・ムービーの中でも、ひときわ強い印象を残す「メイクをした男たち」の映画。もはや一つのジャンルとして確立され、そのアプローチも多彩。すべては1970年代初期のグラム・ロックから始まっているとも言われるが、その妖艶!?な魅力や刺激は多くのファンを獲得するまでに至っている。これは生き方の自由選択であり、苦悩と愛と希望に満ち溢れた人生そのものだ。

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MI0002160668 『The Rocky Horror Picture Show』(1975)
ティム・カリー扮するフランクの女装ルックスが強烈な印象を残すカルトムービー。もともとは1973年、ロンドンにある僅か60席ほどの小劇場で始まった舞台ミュージカル。75年に映画化されるがさほどヒットせず。しかし、ミッドナイト・シアター向けに上映すると状況が一変。観客参加型の映画として生まれ変わり、公開から40年以上が経った現在でも、世界のどこかの都市で上映され続けているという、超ロングラン・ムービーとなった。その根底にはリチャード・オブライエンの楽曲が素晴らしさがあることは言うまでもない。
(こちらもお読みください)
ロッキー・ホラー・ショー〜一人の若者が心酔して世界中でカルト化した“観客参加”映画


tumblr_static_1b2wrtd33xi8ckkoww8c044ks 『Purple Rain』(1984)
1984年に突如として降り注いだ紫色の雨。前作『1999』のアートワークも紫に染まっていたが、この自伝的映画に主演・制作されたサウンドトラックで一気に世界の頂点に(全世界で2000万以上のセールス)。革新的な楽曲が並ぶ中、大バラードのタイトル曲が胸を打つ。同時期のマイケル・ジャクソンは万人ウケするポップスターだったが、プリンスはアンダーグラウンド層にも支持される刺激に満ちた色気を兼ね備えたヒップスターだった。その後、いち早くネットに順応したアーティストである点にも注目したい。


14868_973679 『Velvet Goldmine』(1998)
明らかにデヴィッド・ボウイやイギー・ポップをモデルにしたグラム・ロックの栄光と終焉の物語。グラムの登場で最先端の若者文化の震源地は、アメリカ西海岸から再びロンドンに舞台を移す。ボウイは60年代後半はほぼ無名に近い存在だったが、ショウビジネスとホモセクシャルのパワーを手に入れて眩しく生まれ変わったのだ。音楽やファッションだけでなく、思想、SF、世紀末感、ポップアート、30〜50年代のハリウッド女優のイメージなどが融合したスタイリッシュなうねりが映像と音で満喫できる。
(こちらもお読みください)
ベルベット・ゴールドマイン〜デヴィッド・ボウイがいたグラマラスな日々


600x600 『Hedwig and the Angry Inch』(2001)
1997年よりオフ・ブロードウェイで上演され、熱狂的な支持を集めたロック・ミュージカルの映画化サウンドトラック。東ドイツから亡命して性転換出術の失敗で1インチだけアレが残ってしまったヘドウィグの物語。物語の原案者でもあるジョン・キャメロン・ミッチェルが主演・監督・脚本を担当。「The Origin Of Love」は本作のテーマソングともいえる名曲だ。
(こちらもお読みください)
哲学的な歌〜The Origin Of Love(愛の起源)〜


【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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