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哲学的な歌〜The Origin Of Love(愛の起源)〜

2014.07.20

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♪「The Origin Of Love〜愛の起源〜」/映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の1シーンより(スペイン語字幕)


昔々の話…
地球がまだ平らで
雲は炎でできていて
山は空へと伸びていた
もっと高くへと

転がる樽のように地を這っていた人間達
見れば腕が二組と
脚も二組あって
大きな頭には顔も二つ付いていて
それであたりが全部見渡せて
本を読みながら話もできたけど
愛については何も知らなかった
それはまだ「愛」が生まれる前のこと
愛の起源…


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1997年よりオフ・ブロードウェイで上演され、熱狂的な支持を集めたロック・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』をご存知だろうか?
オリジナルの舞台では主人公・ヘドウィグ役を演じた俳優で、物語の原案者でもあるジョン・キャメロン・ミッチェルの作品だ。
この「The Origin Of Love〜愛の起源〜」は、本作のテーマソングとも云える名曲。
古代哲学者プラトンの著作『饗宴』の中で、アリストパネスという喜劇詩人が語ったギリシャ神話が、この楽曲や脚本のモチーフとなっているという。
自分の“片割れ(Better half)=愛”を探して各地を巡る物語は、当時ニューヨーカーやセレブの間で一躍話題になり、主人公ヘドウィグの髪型を真似て何度も劇場へと足を運ぶ“HED HEAD”と呼ばれる熱狂的なファンをも作り出した。
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また、マドンナが劇中歌の利用権を申請したり、デヴィッド・ボウイがグラミー賞の授賞式をすっぽかしてまで観劇し、舞台への出資を決めたことなどでも話題となった。
当時、タイムアウト誌やローリング・ストーン誌など一流メディアも特集を組むなど、幅広いジャンルから評価され、まさに“アメリカンドリーム”を叶えた作品である。
2001年には映画化もされており、サンダンス映画祭最優秀監督賞、最優秀観客賞、ベルリン国際映画祭テディ・ベア賞、ドービル映画祭グランプリ、最優秀批評家賞、最優秀新人監督賞、サンフランシスコ国際映画祭最優秀観客賞、シアトル国際映画祭最優秀主演男優賞など数々の賞を受賞している。
同作はイギリス、カナダ、ドイツ、日本、韓国など世界各地でロングラン上演され、初演から17年経った今も“伝説の舞台”として再演され続けている。
ちなみに日本では三上博史(2004年・2005年)、山本耕史(2007年・2008年・2009年)、森山未來(2012年)が、それぞれに主人公・ヘドウィグ役を好演した。

■映画『Hedwig and the Angry Inch』2001年公開時の予告編(約2分半)


二つに切り裂かれたとき
君は僕を見ていた
僕は君を見ていた
君が感じた痛みは
僕の痛みと同じ
心の底まで貫くその痛み…それが「愛」

だから二人は抱きしめ合い
求め合い
元の姿に戻ろうとする
それが「セックス」、そう「メイクラヴ」

昔々の話…
冷たく暗い夜のこと
天の支配者によって人間は寂しい二本足の生き物になった
それは悲しい物語
それは愛の起源の物語
それが愛の起源…
こうして愛は生まれたよ



誰もが“失われた片割れ(Better half)”を探しながら生きている。
出逢いと別れを繰り返し、時にはセックスを楽しんだり、虚しさを感じたり…。
そうやって彷徨いながら“本当の相手”を探しているのかもしれない。
まるでパズルのピースが合うように「この人だ!」と感じる瞬間があったりもする。
だけど “失われた片割れ(Better half)”というのは、何処かにいる異性やパートナーという意味だけはなく、自身の内側に秘められている“もう一人の自分”なのかもしれない。
人は“本当の自分”を探すために人生の旅を続ける…。
この歌、この物語は、そんな大切な何かを私達に気づかせてくれる。

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♪「The Origin Of Love〜愛の起源〜」/映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』サウンド・トラックより※フルバージョン


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ジョン・キャメロン・ミッチェル
『Hedwig And The Angry Inch: Original Cast Recording』

(1999/Atlantic)


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映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』

(2002/エスピーオー)

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