アメリカのポップス&カントリーシーンにおいて、名実共にトップアーティストであるシェリル・クロウ。いわゆる“遅咲きのデビュー”で登場した人としても有名である。
1993年の8月、彼女が31歳のときに満を持して発表した1stアルバムは、約1年をかけてじわじわとチャートを昇り始め、最終的には90年代のアメリカとイギリスにおいて700万枚を超えるセールスを記録する。リードシングル「All I Wanna Do」は、全米ビルボードチャートで最高2位まで上昇する大ヒットとなった。
──それは1995年3月1日の出来事だった。その日、シェリル・クロウは第37回グラミー賞で「最優秀レコード賞」「最優秀新人賞」「最優秀女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス賞」の3冠を受賞した。
この“快挙”ともいえる受賞を彼女にもたらしたアルバム『Tuesday Night Music Club』とは、一体どんな経緯で製作されたものだったのだろう? 1stアルバムからいきなりグラミー三冠を手にした彼女は、一体どんな経歴を持つミュージシャンだったのだろう?
1962年2月11日、シェリル・クロウはミズーリ州の南東部にあるケネットという街で生まれた。父はトランペット、母はピアノをジャズバンドで演奏していたという音楽一家で育つ。5歳からピアノのレッスンを受け、13歳で最初の曲を作ったという。
しかし、当時は“音楽ひとすじ”というわけではなく、高校ではチアリーダーとして活躍するなど、活発な一面も持っていた。大学で作曲や演奏を学び始め、卒業後にチャンスを求めて故郷のミズーリを離れ、セントルイスのバーなどで歌うようになる。
一時期は小学校の音楽教師になったり、企業CMジングルなどの作曲をもしていたが、25歳を迎えた1986年に、自らの音楽への夢を追うためにカリフォルニアに移住する。翌1987年から1989年、マイケル・ジャクソンのコンサートツアーでのコーラスを務め、同ツアーで日本にも訪れている。
その後も、スティーヴィー・ワンダーやドン・ヘンリーなど多くの著名なアーティストのバッキング・ヴォーカルとしてレコーディングへ参加をしたり、エリック・クラプトンに曲を提供したりもするが、彼女自身にスポットが当たることはなかった。
そんな中、裏方としてのキャリアを積み重ねてきた彼女のパフォーマー/ライターとしての才能に目を付けたA&Mレコードが、ついに契約の話を持ちかけてくる。
1990年に同社と契約し、1992年にはポリスやフィル・コリンズのプロデュースで有名なヒュー・パジャム制作指揮によって待望のデビューアルバムを完成させるが、リリースが頓挫するという苦いアクシデントも経験する。
30歳を迎えたシェリル・クロウにとって転機となったのが、年齢的にも精神的にも最も行き詰まりを感じていた1992〜93年だった。
この頃、毎週火曜日の夜になると、数人のミュージシャン達が集まって(自然発生的に)ジャムセッションを行っていた“ある場所”に顔を出すようになる。
ロサンゼルス北東の高級住宅街パサデナにあったその場所とは、マイケル・ジャクソンやマドンナを手掛けたプロデューサーのビル・ボットレルの自宅だった。
「あの時期、私は火曜日の夜を何人かのアーティスト達とビルの家のタペストリーのかかった明るいリビング兼スタジオで過ごしたわ。集まったクルーは音楽的な実験をやりながら、何かを創造することだけを頭に描いていた人達だったの。
夜が終わる頃、もしくは朝を迎える頃になると、特別なものが作り出され、それがレコーディングされていたわ。もちろん、何も作り出されない夜だってあったけど。ビールを飲みながら、それぞれが一番身近にある楽器を手に取りながら。私のデビューアルバムは、あの“火曜日の夜のセッション”から生まれたの」
長い下積み時代を経験しながら、行き詰まっていた彼女をグラミー歌手にまで一気にステップアップさせたこのアルバムは、実は元々レコーディングのためではなく、「ただ演奏を楽しんで、良い曲ができたら録音しておこう!」と、そんな気楽な雰囲気で録られていたのだ。
きっかけは、本作でドラムス、ギター、オルガンを担当している彼女の当時のボーイ・フレンド、ケヴィン・ギルバートの何気ない誘いだった。そんな自然な流れから彼女が仲間入りをしたことよって、この“火曜日の夜の音楽実験”は全世界に知れ渡ることになった。

『Tuesday Night Music Club』/シェリル・クロウ(1993/ USMジャパン)
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TAP the POP 音楽愛 (ONGAKU LOVE)
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