♪「Sea of Love 」/フィル・フィリップス
今回ご紹介するこの「Sea Of Love」は、1959年の7月(この季節!)全米2位に輝いたヒット曲です。
当時33歳だったフィル・フィリップス(Phil Phillips With The Twilights)が歌った“珠玉のラブソング”だ。
当時はミリオンセラーとなりゴールド・ディスクを受賞した同曲ですが、契約上の問題から、フィルは1回限りの報酬以外に著作料を得ることはなかったという。
彼は次第に音楽業界から遠ざかり、地元のルイジアナでのライブ演奏活動以外にはラジオ番組のディスクジョッキーに転身することとなる。
曲の誕生から30年後の1989年に、アル・パチーノ主演の映画『Sea Of Love』の主題歌として起用され、長きに渡って愛されるスタンダードソングとなった。
難しい言葉を使わず、同じフレーズを重ねてゆくシンプルな歌詞が印象的なこの求愛曲は、今でもアメリカ人がカラオケで歌う“テッパンの歌”として親しまれているという。
さあ行こうよ、愛しい人
海へ、愛の海へ
僕が君をどんなに愛しているか教えたいよ
ただ「海を見に行こう」「海水浴に行こう」ではなく、波のように繰り返される“愛の海”という表現が、少しセクシャルな隠喩となっている“大人のラブソング”だ。
この美しいバラードを、より洗練されたアレンジでロマンチックに歌い上げ、多くのロック&ポップスファンに知らしめたのが、元Led Zeppelinのロバート・プラントだった。
1984年、ロバートは盟友ジミー・ペイジ、そしてジェフ・ベックなどを含むロックレジェンド達とセッションユニットThe Honeydrippers(ハニー・ドリッパーズ)を結成し、この「Sea Of Love」をカバーしたのだ。
同曲は、再び全米シングルチャート3位にまで上昇するヒットとなり、夏のリゾート地を舞台とした映画仕立てのプロモーションビデオと相まって、80年代のミュージックシーンに鮮烈な印象を残した。
♪「Sea of Love 」/ロバート・プラント(The Honeydrippers)
そんな、ある意味“ベタ”とも云えるこのヒット曲を、意外なアーティスト達がカヴァーしているところも面白い。
“パンク界のゴッドファーザー”ことイギー・ポップが!
独特の歌声と世界観で女性シンガー・ソングライターの中でも異彩を放っている才女キャット・パワーが!
そして“酔いどれ詩人”の異名を持つ奇才トム・ウェイツが!
それぞれが実に個性的なアレンジで“らしくもあり”“らしくもなく”歌っているバージョンを是非聴き比べてみて欲しい♪
♪「Sea of Love 」/イギー・ポップ(1981年)
♪「Sea of Love 」/キャット・パワー(2000年)
♪「Sea of Love 」/トム・ウェイツ(2006年)
【佐々木モトアキ プロフィール】
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【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
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