カネボウ化粧品の春のキャンペーンのCMソングに起用された「春咲小紅」(はるさきこべに)は、矢野顕子の4枚目のシングルとして1981年2月1日にリリースされた。週間シングルチャート最高位5位を記録し、矢野の名前を一気に全国区にしたヒットソングである。
彼女の楽曲に、当時“新進気鋭のコピーライター”として名を馳せていた糸井重里が作詞を担当。編曲の“ymoymo”はイエロー・マジック・オーケストラの別名義。そんな製作チームが手掛けたCMソングは、まだ歌謡曲が全盛期だった日本の音楽シーンにカラフルで軽快な新風を吹かせることとなった。
それまでの矢野顕子は一般的な知名度こそ低かったものの、ニューミュージック界では“実力派”として一目置かれる存在だった。“ザリバ”というバンドを解散させるにあたって、自分よりも才能が欠ける人と一緒にやるのは嫌だと言い放ったこともある。
3歳の頃からフランス人教師についてクラシックピアノを習い、小学6年生でジャズに目覚めたという経歴がそう言わせたのかもしれない。
青森から上京して、高校は青山学院に入学。雑誌に載った軽音楽部に入るためだった。しかし、思ったほど情熱のある部員がいなかったことや、ジャズ喫茶などでピアノを弾くバイトが忙しくなってあっさりと中退。
ストレートな物言いが示す通り、フワフワ浮いているような歌の雰囲気とは違って、若い頃は結構辛口な発言が彼女の特徴でもあった。当時の矢野顕子は自信に満ちあふれていた。それだけに、一部の関係者からは「生意気だ」「ツッパっいる」というイメージで見られていたという。
ザリバを解散して二ヶ月後、ソロアルバムのレコーディングを始めるも、今度はリズムセクションだけを録音した時点でいきなり製作を放り出す。
「自分自身の音楽を創るには、あまりにも甘えがありすぎたんです」
矢野顕子の“創造”にかける厳しい姿勢には、終始一貫したものがあった。そして3年後、21歳を迎えると、フルアルバム『ジャパニーズ・ガール』(1976年)で本格的にデビューを果たす。
当時の担当ディレクター三浦光紀はこう振り返る。
「矢野顕子という天才がいると聞いて会いに行ったのですが、まさに天才だと思いました」
デビュー以来、“売れる、売れない”など気にもとめていなかった彼女が、この「春咲小紅」で売れた時にこんな感想を語っている。
「カネボウからお話があったとき、これをやればヒットが出てアルバムも売れるようになるという読みはありました。でもシングルは売れてもアルバムはいまいち売れなかったんです」
TBSの人気テレビ番組『ザ・ベストテン』にも出演。イエロー・マジック・オーケストラのメンバーがバックで演奏するなど、派手な初登場が話題にもなった。テレビ番組への出演は効果抜群だった。
彼女のもとには小学生から誤字脱字だらけのファンレターも届くようになる。だが、彼女は売れっ子の流行歌手になることに微塵も魅力を感じてなかったという。
「ファンをひきつけることも商売としては大切だけど、良質な音楽を作ろうとする場合はマイナスですね。商売を取れば永遠に転がり続けなければならない。私にはそれができないし、売れることが私にとって最大の価値だとは思わないんです」
矢野顕子のそんな姿勢は、現在もブレることなく終始一貫している。
矢野顕子オフィシャルサイト
<引用元・参考文献『フォーク名曲事典300曲』/富澤一誠(ヤマハミュージックメディア)>

「ただいま。」
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イエロースタッズ
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▼スペシャルチケットの詳細・お申し込みはこちらから
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【ご支援ご協力のお願い】
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執筆者
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