「Rainy Days And Mondays(雨の日と月曜日は)」は、カーペンターズが1971年にリリースした3rdアルバム『Carpenters(カーペンターズ)』のオープニングナンバーとして収録された。日本人にも長く愛されてきた“雨の歌”を代表するメロディだ。
作詞・作曲は、カーペンターズが前年にカヴァーしてヒットさせた「We’ve Only Just Begun(愛のプレリュード)」のソングライターコンビである、ポール・ウィリアムズとロジャー・ニコルズによるもの。1974年には作者であるポール・ウィリアムズが、自身のアルバム『Here Comes Inspiration(友に捧げる詩)』で、この曲をセルフカヴァーした。
もともとは、60年代のカリフォルニア・サウンドを代表する男女混声の黒人5人組コーラスグループ、“フィフス・ディメンション”のために書かれた楽曲だった。ところが、この曲のデモテープを聴いたリチャード・カーペンターが、カーペンターズで取り上げることを決めたという。
発売当初、Billboard Hot 100で2位となり、カーペンターズにとって4作目の全米トップ10シングルとなった。ビルボード誌のイージー・リスニング・チャート(後のアダルト・コンテンポラリー・チャート)では4週に渡って1位を獲得。1971年当時、イギリスではチャート・インせず、1993年に再発シングルが63位、日本では72位という記録が残っている。
ところで、このカーペンターズのバージョンのイントロの哀愁漂うハーモニカの音色を憶えているだろうか? 奏者はトミー・モーガンというハーモニカ演奏歴50年を超える伝説の巨匠である。
「Rainy Days And Mondays(雨の日と月曜日は)」の他にも、ビーチボーイズの「Good Vibrations」、リンダ・ロンシュタットの「Skylark」、ニール・ダイアモンドの「I’ll Be Home For Christmas」、さらにはエルヴィス・プレスリー、クインシー・ジョーンズなどとのセッションでも知られている名奏者なのだ。映画では『マイ・フェア・レディ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『デスペラード』『追憶』など、名だたる名画のサントラにも参加している。
印象的なハーモニカの名演。カレン・カーペンターの軽やかで美しい歌。その歌を最高のバランスで引き立てる名手ハル・ブレインのドラム。中盤から入ってくる絶妙なコーラス。間奏のごく短いサキソフォンのソロ。
このソロを吹いているのは、ボブ・メッセンジャーというカーペンターズのバンドでフルートやベースも弾く才能溢れるマルチプレイヤーだ。決して派手ではないのだが、こういう粋で成熟した演奏をできるミュージシャンがカーペンターズの名曲を支えているのだ。
何度聴いても決して飽きることのない名人芸のアンサンブル。アメリカンポップスの底力と凄みを感じる一曲である。
「Rainy Days And Mondays(雨の日と月曜日は)」/カーペンターズ


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執筆者
【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html



