エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、いわゆる“3大ギタリスト”が一堂に会したのは1983年9月のこと。
きっかけは元スモール・フェイセズのベーシスト、ロニー・レインによる呼びかけだった。多発性脳脊髄硬化症という難病に冒されたロニーは、自身の高額な治療費とARMS(多発性硬化症の研究機関)の研究費のためにチャリティー・コンサートを企画する。
9月20日、ロイヤル・アルバート・ホールで催されたARMSコンサートには先述の3人の他に、ブラインド・フェイスやトラフィックを経てソロになったギタリストのスティーヴ・ウィンウッド、そしてローリング・ストーンズからはビル・ワイマンとチャーリー・ワッツなど、錚々たる面々が集まった。
しかし、一番の注目は、やはりクラプトン、ベック、ペイジの3人による共演だった。彼らは1960年代に活動していたバンド、ヤードバーズの歴代ギタリストを務めていたという共通点があり、特にペイジは1980年にレッド・ツェッペリンが解散して以来、初めてのステージということもあって世間の関心を集めた。
コンサートはクラプトン、ベック、ペイジの順に登場し、最後に出演者全員による「Tulsa Time」「Layla」「Goodnight, Irene」が演奏された。
クラプトンはこの日のことをこう振り返っている。
「コンサートは素晴らしい雰囲気で、大成功に終わった。我々がこの顔合わせで一緒に演奏するのはこれが初めてだったが、金というよりロニーのためにしていたことだから、最初からエゴを捨てていたので実に楽しかった。」
(「エリック・クラプトン自伝」より)
コンサートに満足した出演者たちは、ARMSのためにもっと演奏しようということでアメリカ・ツアーを計画し、ダラス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨークの4都市をツアーで回ることとなる。
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